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海外テニス

標高2640メートルの会場で障害を持つ女子テニス選手が試合中に倒れて途中棄権!「心臓が頑張り過ぎた」と自己分析<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.04.04

遺伝的な疾患によるハンデキャップを克服してプロテニス選手として活躍するジョーンズだが、初めて迎えた低酸素という環境には苦戦を強いられた。(C)Getty Images

遺伝的な疾患によるハンデキャップを克服してプロテニス選手として活躍するジョーンズだが、初めて迎えた低酸素という環境には苦戦を強いられた。(C)Getty Images

 酸素濃度の低い高地で十分な練習をせずにテニスの試合をしたらどうなるか。それを実証するような事件が、現在開催中の女子テニスツアー「コルサニータス・カップ」(3月31日~4月6日/コロンビア・ボゴタ/クレーコート/WTA250)で起きた。

 3月30日にブラジルのバカリアで開催されたITFツアー決勝を勝ち切り、キャリア8個目のタイトルを手にしたフランチェスカ・ジョーンズ(イギリス/世界ランキング129位)は、休む間もなく24時間以上かけてコロンビアの首都ボゴタへ移動。最小限の休息をとったのち、4月1日に実施された1回戦にぶっつけ本番で臨んだ。

 ボゴタの標高は約2640メートル。世界で3番目に標高の高い首都である。酸素濃度は実に25%も低く、一般人であれば少し運動しただけでも息が切れる環境だ。

 そんな中でジョーンズはアルゼンチンの157位ジュリア・リエラを相手に第1セットを2-6で失うが、続く第2セットは7-5と競り勝ちスコアをイーブンに戻す。そして迎えたファイナルセット。3-5と追い込まれたジョーンズは挽回すべくサービスを打とうとトスを上げたものの、ボールを打つことなくフラフラとコートに倒れ込んだのである。

 立ち上がれない彼女の周囲には大会関係者が駆け寄り、ジョーンズは車いすに乗せられて医務室へと直行。これにより試合続行不可能となりジョーンズの途中棄権が決まった。
 
 幸いなことにジョーンズは翌日には回復。SNSを通じて「限られた酸素レベルで初めて試合をしました。試合が進むにつれて状況に慣れようと努力したけど、次第に苦戦するようになってきて、ケイレンも起きていないのに視界がぼやけてきて倒れてしまいました」と振り返った。そして「心臓が少し頑張りすぎたようですが、長期的な影響はないようです」と検査結果も報告した。

 外胚葉異形成症という珍しい遺伝的な疾患を持って生まれたジョーンズは、両手の指が1本ずつ欠けており、足の指も7本しかない。それだけに試合では健常者よりも体力の消耗を強いられる。試合中のケイレンにも悩まされることが多く、途中棄権は今季だけでもこれが2回目である。

 幼少期には医師からテニスはできないと言われたが、彼女はその言葉を聞いて逆に「わかった、じゃあ私はそれが間違っていることを証明してみせる」と決意を新たにしてプロテニス選手を目指し、遂にその夢を実現させた。

 キャリアのなかで初めて迎えた「低酸素」という強敵に屈したジョーンズ。だが、努力を惜しまない彼女であれば、1年後のボゴタでリベンジを果たして力強いガッツポーズを我々に見せてくれるかもしれない。

構成●スマッシュ編集部

【動画】低酸素により試合途中にコートへ倒れ込んでしまうジョーンズ

【動画】ITFが公開した20歳当時のジョーンズのインタビュー

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