専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

世界9位のデミノーがまさかの全仏2回戦敗退!「精神的にも疲れていて、少し燃え尽きている感じもある」<SMASH>

中村光佑

2025.05.30

勝利目前からまさかの逆転負けを喫したデミノーは敗因の一つに近年の過密スケジュールによる心身の慢性的な疲労を挙げた。(C)Getty Images

勝利目前からまさかの逆転負けを喫したデミノーは敗因の一つに近年の過密スケジュールによる心身の慢性的な疲労を挙げた。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」の男子シングルスで2回戦敗退を喫した世界ランキング9位のアレックス・デミノー(オーストラリア)が、敗戦後の記者会見で燃え尽き症候群のような状態になっていることを告白するとともに、あまりにも過酷すぎるツアースケジュールを是正すべきだと主張した。

 クレーコートシーズンのデミノーは4月の「モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000)でベスト4に進出し、続く「バルセロナ・オープン」(ATP500)では8強入り。その後の「マドリード・オープン」(ATP1000)と「イタリア国際」(ATP1000)は共に4回戦敗退に終わっていた。

 今回の全仏オープンには第9シードで参戦し、ラスロ・ジェレ(セルビア/同59位)との1回戦は6-3、6-4、7-6(6)で快勝していたデミノー。現地時間5月29日に行なわれた2回戦ではアレクサンダー・バブリク(カザフスタン/同62位)と対戦し、第1、2セットをいずれも6-2で奪って難なく2セットアップとした。

 ところがここから状況が一変。バブリクの猛反撃に遭い、第3セットを4-6、第4セットを3-6で失って2セットオールに持ち込まれる。そして運命のファイナルセットもデミノーが2度のブレークを献上して2-6となり、2時間52分でまさかの2回戦敗退となった。

 試合後の会見では失意に暮れた様子で「今日はただただひどい1日だった。普通なら99.9%勝てた試合だが、今日はその0.1%が起きてしまった」と敗戦の弁を述べたデミノー。クレーシーズンを含め数多くの試合をこなしてきた「疲労の蓄積」と、「燃え尽き症候群」のような精神状態になっていることを敗因に挙げ、その背景にある過酷なスケジュールや理不尽なランキング制度に対する批判の言葉を口にした。
 
「とにかく疲れている。精神的にも疲れていて、少し燃え尽きている感じもある。明確な解決策は誰も持っていないだろうが、解決策はシンプルなもの。ツアースケジュールを短くするべきなんだ。おかしな話だけど、この3~4年はずっとデビスカップ(男子国別対抗戦)のあとに2日ほど休んだら、すぐプレシーズンが始まって、そのまま新シーズンに突入している」

「一度シーズンが始まったら、11月下旬まで試合が続く。それが現実だ。キャスパー(・ルード)もそのことに触れていたけど、自分もその影響を受けている。しかも今のランキングには、僕がケガで出られなかったシンシナティ、モントリオール、上海の“0ポイント”が含まれているけど、正直それっておかしいと思う」

「でも今はそれがツアーのルールになっている。解決策はスケジュールを短縮することだろう。そうしないと、選手たちのキャリアはどんどん短くなっていく。みんな精神的に燃え尽きてしまうからね。単純に試合数が多すぎる」

 近年は四大大会に次ぐマスターズ1000シリーズの大会期間が2週間に拡張されるなど、ツアースケジュールは過密化の一途をたどっている。ルードやデミノーのようなトップ選手が声を上げ始めた今こそ、より持続可能な競技環境の実現に向けて動き出すべき時なのではないだろうか。

文●中村光佑

【画像】デミノーほか、2025全仏オープンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト

【関連記事】「平等は不可能でも、ならすことはできるのでは」ケガで初戦途中棄権の西岡良仁が訴える、テニス界の構造改革<SMASH>

【関連記事】テニス界きっての“仲良しカップル”デミノーとボールターが婚約を発表!シャポバロフ、ラドゥカヌら選手仲間も祝福<SMASH>

 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号