不正監視機関「国際テニス・インテグリティ・エージェンシー」(ITIA)は現地18日、台湾の女子選手がテニス・アンチ・ドーピング・プログラム(TADP)に基づき、12カ月の資格停止処分を受け入れたことを発表した。
処分が下ったのはダブルスを得意とする台湾期待の若手ツァオ・チアイー(21歳)。2024年8月にはダブルスで自己最高となる世界ランキング115位をマークし、今年1月には「全豪オープン」の女子ダブルス本戦に主催者推薦で出場。第11シードの柴原瑛菜/ベロニカ・クデルメトワ(ロシア)にストレートで敗れたものの、記念すべき四大大会デビューを飾っている。
ドーピング違反が発覚したのは今年1月の大会参加中に受けた検査によるもので、同選手の検体からは禁止薬物のメチルエフェドリンの陽性反応が示された。メチルエフェドリンはTADPにおいて興奮剤のカテゴリーに属する禁止薬物で治療目的の有効な禁止薬物使用許可も得ていなかった。
同選手は陽性反応を示した原因として「東京の空港にあるドラッグストアで購入した日本の風邪薬『パブロンゴールドA』の服用によるもの」と主張。だがITIAでは製品の日本語版パッケージや製造元のウェブサイトには成分としてメチルエフェドリンが明記されている点や、服用前に店員や医師に相談して製品の適合性の評価を受けなかったこと。さらに同選手が最近アスリートに対する薬物の安全性に関する教育を受けていた点なども問題視した。
ツァオは釈明文の中で、台湾で使用していた同じブランドの風邪薬にはメチルフェドリンが含まれておらず、そのことを知っていたために日本で購入する際に注意しなかったという点を指摘。この主張の裏付けとして購入時のレシートや医薬品のパッケージ写真などの証拠をITIAに提出した。そして慎重な調査の結果、ITIAは今回の違反は故意ではなく、その状況は「重大な過失または過失なし」の基準を満たしていると認めた。
ITIAは制裁を決定するにあたり、世界アンチ・ドーピング規程に基づく複数のスポーツにおける類似事例の判例を考慮し、その上で12カ月の資格停止処分が適切と判断。ツァオもこれを受け入れ、独立した裁定機関による聴聞を受ける権利を放棄した。
暫定資格停止処分の期間は資格停止期間に加算されるため、同選手の資格停止期間は2026年2月28日まで。資格停止期間中は、ITIA加盟団体(ATP、ITF、WTA、オーストラリアテニス協会、フランステニス連盟、ウインブルドン、USTA)、または各国の協会が認可するテニスイベントへの出場、コーチ、出席が禁止される。
移動のために立ち寄った空港で入手した風邪薬を服用したことで小さくない代償を支払ったツァオ。ITIAは、今回の事件は全てのプロ選手が自らの薬物使用に全責任を負わなければならないこと。特に海外に渡航する際には、服用する薬物の成分が規則を遵守していることを確認するよう注意しなければならないことを改めて思い起こさせるものであると強調している。
構成●スマッシュ編集部
【関連記事】避けようのないサプリメントの薬物汚染にメドベージェフが不安を吐露「もし製造過程でミスがあれば誰かの人生を壊す」<SMASH>
【関連記事】世界王者シナーの処分を受け、ジョコビッチが反ドーピングシステムに不信感「今こそ行動を起こして改革に取り組むべきだ」<SMASH>
【関連記事】元女王ハレップがドーピング問題における対応の違いを疑問視「ITIAの悪意としか思えない」<SMASH>
処分が下ったのはダブルスを得意とする台湾期待の若手ツァオ・チアイー(21歳)。2024年8月にはダブルスで自己最高となる世界ランキング115位をマークし、今年1月には「全豪オープン」の女子ダブルス本戦に主催者推薦で出場。第11シードの柴原瑛菜/ベロニカ・クデルメトワ(ロシア)にストレートで敗れたものの、記念すべき四大大会デビューを飾っている。
ドーピング違反が発覚したのは今年1月の大会参加中に受けた検査によるもので、同選手の検体からは禁止薬物のメチルエフェドリンの陽性反応が示された。メチルエフェドリンはTADPにおいて興奮剤のカテゴリーに属する禁止薬物で治療目的の有効な禁止薬物使用許可も得ていなかった。
同選手は陽性反応を示した原因として「東京の空港にあるドラッグストアで購入した日本の風邪薬『パブロンゴールドA』の服用によるもの」と主張。だがITIAでは製品の日本語版パッケージや製造元のウェブサイトには成分としてメチルエフェドリンが明記されている点や、服用前に店員や医師に相談して製品の適合性の評価を受けなかったこと。さらに同選手が最近アスリートに対する薬物の安全性に関する教育を受けていた点なども問題視した。
ツァオは釈明文の中で、台湾で使用していた同じブランドの風邪薬にはメチルフェドリンが含まれておらず、そのことを知っていたために日本で購入する際に注意しなかったという点を指摘。この主張の裏付けとして購入時のレシートや医薬品のパッケージ写真などの証拠をITIAに提出した。そして慎重な調査の結果、ITIAは今回の違反は故意ではなく、その状況は「重大な過失または過失なし」の基準を満たしていると認めた。
ITIAは制裁を決定するにあたり、世界アンチ・ドーピング規程に基づく複数のスポーツにおける類似事例の判例を考慮し、その上で12カ月の資格停止処分が適切と判断。ツァオもこれを受け入れ、独立した裁定機関による聴聞を受ける権利を放棄した。
暫定資格停止処分の期間は資格停止期間に加算されるため、同選手の資格停止期間は2026年2月28日まで。資格停止期間中は、ITIA加盟団体(ATP、ITF、WTA、オーストラリアテニス協会、フランステニス連盟、ウインブルドン、USTA)、または各国の協会が認可するテニスイベントへの出場、コーチ、出席が禁止される。
移動のために立ち寄った空港で入手した風邪薬を服用したことで小さくない代償を支払ったツァオ。ITIAは、今回の事件は全てのプロ選手が自らの薬物使用に全責任を負わなければならないこと。特に海外に渡航する際には、服用する薬物の成分が規則を遵守していることを確認するよう注意しなければならないことを改めて思い起こさせるものであると強調している。
構成●スマッシュ編集部
【関連記事】避けようのないサプリメントの薬物汚染にメドベージェフが不安を吐露「もし製造過程でミスがあれば誰かの人生を壊す」<SMASH>
【関連記事】世界王者シナーの処分を受け、ジョコビッチが反ドーピングシステムに不信感「今こそ行動を起こして改革に取り組むべきだ」<SMASH>
【関連記事】元女王ハレップがドーピング問題における対応の違いを疑問視「ITIAの悪意としか思えない」<SMASH>