テニス四大大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/芝コート)の男子シングルス決勝で、世界ランキング1位のヤニック・シナー(イタリア)が、同2位のカルロス・アルカラス(スペイン)を逆転で下して念願の初優勝を果たした。コーチを務めるダレン・ケーヒル氏(オーストラリア)とシモーネ・バグノッツィ氏(イタリア)は、勝因の1つにシナーの“切り替えのうまさ”を指摘している。
コーチ陣がまず言及したのは、「全仏オープン」での悔しい敗戦をどう処理したか。わずか5週間前、今回と同じくアルカラスと対峙したシナーは、2セットアップし、その後チャンピオンシップポイントを3本握りながらも、痛恨の逆転負けを喫した。5時間29分の激闘の末、初優勝を取り逃してしまった。
バグノッツィ氏は全仏後のチームを振り返り、目の当たりにしたシナーの強さについて語っており、ATP公式サイトでコメントが紹介されている。
「パリの後には厳しいものがあったけれど、チームでたくさん話し合った。僕らは、パリで彼が見せたプレーを本当に誇りに思っているという話をした。ここには良い大会にするという目的を持って来た。大会のスタートは順調だった。前週にとても良い練習ができていたから、ここで良い大会にできるという自信があった。
でも間違いなく、彼のメンタルの強さは本当にすごい。僕らは、毎日正しいメンタリティと良い姿勢でコートに立つような選手と一緒に働けて幸運だよ」
一方のケーヒル氏は、今大会の4回戦に触れた。第1セットでヒジを負傷したシナーが、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/同21位)に2セットを先取された試合だ。しかし第3セット途中で相手が負傷棄権したため勝利が転がり込んだ。この試合後、ケーヒル氏は運で勝ち上がったことを忘れ、次戦に向かおうとシナーに話したという。
「僕らは彼に繰り返し伝えていた。男子のグランドスラムは5セットマッチを7試合戦うものだ。誰だって、何かしらのつまずきはある。ケガだったり、ちょっとした運だったり、あるいは序盤のラウンドでのピンチをなんとか切り抜けたりする。
だから、それをそのまま受け止めて、脇に置いておけ。大事なのは、次の相手に集中すること。次の相手に勝てば、また次があるし、それを最大限に生かせる。彼はそういうことができる。全仏で敗れた時と同じように向き合ったんだ」
そして、改めて全仏後の切り替えを賛えた。
「彼はあの時、キャリアの中で最も良いクレーでの試合をした。テニス選手として成長しているとわかって、でもそれを脇に置き、次に集中することができた。本当に稀有な資質だと思う」
パリでの惜敗からロンドンでの勝利へ。シナーの精神的な対応力が、栄冠への鍵となった。
構成●スマッシュ編集部
【動画】シナーVSアルカラスの「ウインブルドン」決勝ハイライト
【画像】優勝のシナーはじめ、ウインブルドン 2025 を戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】世界王者シナーがついにウインブルドン初優勝!全仏のリベンジを果たし「あの敗戦を受け入れ、ただひたすら努力した」<SMASH>
コーチ陣がまず言及したのは、「全仏オープン」での悔しい敗戦をどう処理したか。わずか5週間前、今回と同じくアルカラスと対峙したシナーは、2セットアップし、その後チャンピオンシップポイントを3本握りながらも、痛恨の逆転負けを喫した。5時間29分の激闘の末、初優勝を取り逃してしまった。
バグノッツィ氏は全仏後のチームを振り返り、目の当たりにしたシナーの強さについて語っており、ATP公式サイトでコメントが紹介されている。
「パリの後には厳しいものがあったけれど、チームでたくさん話し合った。僕らは、パリで彼が見せたプレーを本当に誇りに思っているという話をした。ここには良い大会にするという目的を持って来た。大会のスタートは順調だった。前週にとても良い練習ができていたから、ここで良い大会にできるという自信があった。
でも間違いなく、彼のメンタルの強さは本当にすごい。僕らは、毎日正しいメンタリティと良い姿勢でコートに立つような選手と一緒に働けて幸運だよ」
一方のケーヒル氏は、今大会の4回戦に触れた。第1セットでヒジを負傷したシナーが、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/同21位)に2セットを先取された試合だ。しかし第3セット途中で相手が負傷棄権したため勝利が転がり込んだ。この試合後、ケーヒル氏は運で勝ち上がったことを忘れ、次戦に向かおうとシナーに話したという。
「僕らは彼に繰り返し伝えていた。男子のグランドスラムは5セットマッチを7試合戦うものだ。誰だって、何かしらのつまずきはある。ケガだったり、ちょっとした運だったり、あるいは序盤のラウンドでのピンチをなんとか切り抜けたりする。
だから、それをそのまま受け止めて、脇に置いておけ。大事なのは、次の相手に集中すること。次の相手に勝てば、また次があるし、それを最大限に生かせる。彼はそういうことができる。全仏で敗れた時と同じように向き合ったんだ」
そして、改めて全仏後の切り替えを賛えた。
「彼はあの時、キャリアの中で最も良いクレーでの試合をした。テニス選手として成長しているとわかって、でもそれを脇に置き、次に集中することができた。本当に稀有な資質だと思う」
パリでの惜敗からロンドンでの勝利へ。シナーの精神的な対応力が、栄冠への鍵となった。
構成●スマッシュ編集部
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