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海外テニス

【大坂なおみ・全米テニス名勝負集4】2年前の涙から成長し、リベンジ成功!/2018年準決勝

内田暁

2020.09.05

0勝3敗だった3歳年上のキーズから、とうとう勝利を挙げた。写真:THE DIGEST写真部

0勝3敗だった3歳年上のキーズから、とうとう勝利を挙げた。写真:THE DIGEST写真部

 そうして危機を切り抜けた直後のゲームで、すかさずブレークを奪う。その2ゲーム後にも、またも凌いだピンチをチャンスにつなげた大坂が、第1セットを奪い去った。

 第2セットでの分岐点は、6度のブレークポイントを凌いだ第2ゲーム。第1ゲームを落としたキーズは、ここを取らねば勝機はないとばかりに、明らかにプレーの質を上げてきた。そのキーズのボールを受け止め、大坂は相手の気概を知る。「彼女は明らかにブレークを奪うべく、良いプレーをしてきた。だから私はサービスに集中し、嵐を切り抜けようと思った」

 過去3度敗れたキーズとの対戦では、大坂は「自分から攻めようとしすぎた」ことを一つの敗因だと分析していた。その大坂がこの局面で、前がかりになるキーズの猛攻を凌ぐと心に決める。この〝嵐〞をやり過ごせば勝利が大きく近づくことを、彼女は感じていたのだろう。それは敗戦から学んだ、勝利への数式のようなものだ。

 叩き込んだサービスがキーズのラケットを弾いた時、大坂は控え目に掲げた両手で、客席から降り注ぐ声援を受け止めた。
 
「日本人で初めての、グランドスラム決勝進出者になりましたね!」オンコートインタビューで向けられたその声に喜びを示すと、彼女はファミリーボックスの母親に向け、「やったよ、ママ! I love you !」と満面の笑みを向けた。

 次に対戦するセレナ・ウィリアムズへのメッセージを促され、口にした言葉は「I love you!」。では最後に、何か言い残したことは?――そう問われた大坂は、〝プライムタイム〞の興奮を共有した、観衆たちに向けて言った。

「みんな、I love you!」

◆2018年準決勝
大坂なおみ [6-2 6-4]マディソン・キーズ

取材・文●内田暁

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