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海外テニス

「結構本気なことを言うと……」ジョコビッチ戦で西岡良仁が知りたかった真実とは?【全豪1週目/男子総括vol.2】

内田暁

2020.01.26

2回戦でエバンスを下し、自身初のグランドスラム3回戦進出を果たした西岡。写真=山崎賢人(THE DIGEST写真部)

2回戦でエバンスを下し、自身初のグランドスラム3回戦進出を果たした西岡。写真=山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 さらには試合を通じ、策士・西岡が打ち続けていた布石があった。それが“サーブ&ボレーの封印”だ。西岡が打つワイドへのスライスサービスを、エバンスはスライスで返し続けていた。これは西岡からしてみれば、怖さを感じないリターン。それだけに、サーブ&ボレーに出れば決められた可能性が高い。だがネットに出る回数を増やせば、相手も警戒しバックで叩いてくるだろう。だからこそ西岡は、いざという時のために、手持ちのカードをあえて隠す。

 そしてその「いざ」は、2セット先取で迎えた第3セットの、第5ゲームで訪れる。流れはやや相手に傾きかけ、握られたブレークポイント。「苦しかった」というこの局面で、西岡は“切り札”を切った。その攻撃を全く予期していなかったエバンスは、いつも通りにスライスのリターンを打つが、その時には西岡はすでにネット際。痛快なまでに狙い通りのサーブ&ボレーを決めた西岡が、このゲームを、セットを、そして勝利をもつかみ取る。ジョコビッチ戦への扉を開けた一打も、バックのボレーだった。
 
 そして迎えた、ジョコビッチ戦――。
 2カ月前の対戦時とは、異なる策と目的意識を抱いて、西岡はロッドレーバーアリーナに立っていた。初対戦時は、自分のテニスがどこまで通用するか試すべく、真っ向からぶつかった。その時に身をもって知ったジョコビッチの強さとは、弱点やスキが全くなく、「プレーをさせられている」という感覚。そして、西岡が得意とするスピンで相手のバックを狙うパターンが、全く通用しないということ。むしろ高く弾むボールは、ダウンザラインに叩くのを得意とするジョコビッチの餌食となる。

 だから今回の対戦で、西岡は“ジョコビッチ対策”を模索した。彼に対し勝率が良い選手たちのプレー傾向を分析し、解を求める。結果、2度目の対戦で西岡が取ったのは、「フォアでもフラット気味で叩き、低い軌道で相手のバックと打ち合う」ことだった。
 

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