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海外テニス

「結構本気なことを言うと……」ジョコビッチ戦で西岡良仁が知りたかった真実とは?【全豪1週目/男子総括vol.2】

内田暁

2020.01.26

ジョコビッチ戦ではネットを交えるなど、様々な戦術を組み入れた西岡だが、跳ね返されてしまった。写真=山崎賢人(THE DIGEST写真部)

ジョコビッチ戦ではネットを交えるなど、様々な戦術を組み入れた西岡だが、跳ね返されてしまった。写真=山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 ただ……結論から言えば、その策もジョコビッチには通用しなかった。西岡本来のプレーではないため、ショットの精度をそこまで高められなかったのも理由の一つだろう。だがそれ以上に、ジョコビッチのプレーが全ての面で上回っていたことを、西岡は素直に認める。第1セットを終え、第2セット以降はネットを取るなど別の戦術も試みるが、「どっちも厳しかった」と振り返った。

 戦い終えた西岡は、「あんまり言いたくないですけど、結構本気なことを言うと……」と前置きした上で、こう続けた。
「多分、実力的に勝てないと思います、彼に。今現在の僕の持っているものでは、ベースの部分でストローク戦でも勝ち切れないです」
 
 この発言は、文字面だけで見れば、諦めの言葉に響くかもしれない。だがそもそも西岡は、常にライバルとの力関係やツアーにおける立ち位置を正確に理解し、その上で目的地までの距離を測り、そこに至る順路を構築してここまで来た選手である。例えば、ジュニア時代から何度も対戦を重ねたカイル・エドムンドには「身体ができるまで、あと数年彼には勝てない」と言い、現に19歳の時に初勝利を手にした。

 そして今回、西岡がジョコビッチとの再戦を切望した理由も、そこにある。ジョコビッチの実力を、世界の頂点との距離を測りたかったからこそ、彼は初対戦とは異なる戦いに挑み、知りたかった真実をコートから持ち帰った。

「悔しいですけど……これ、気持ちでどうこうなる問題ではないので。我武者羅に打ったところで、勝てるボールが打てるわけじゃないですから」

 そう悟る彼は、「一球一球の質を上げていく。そこが最優先」だと言った。2カ月前の初対戦後がそうであったように、これからの彼はまた、最強の男のイメージをネットの向こうに見ながら、ショットに磨きを掛けていく。

文●内田暁

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