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国内テニス

「これで引退だな」パラスポーツ初の国民栄誉賞・国枝慎吾が”現役引退”を決意した瞬間とは――。日本プロスポーツ大賞で激白

THE DIGEST編集部

2023.03.03

日本のパラリンピック選手として初めて国民栄誉賞が決まった国枝。写真:梅月智史

日本のパラリンピック選手として初めて国民栄誉賞が決まった国枝。写真:梅月智史

 車いすテニス界に史上初の勲章が加わった。

 1月22日に現役引退を発表した車いすテニスの国枝慎吾さんが国民栄誉賞を授与することが、3月3日正式決定した。同日の閣議で、松野博一内閣官房長官が、「岸田首相は、国枝慎吾氏に対し、国民栄誉賞を贈り表彰することを決定した」と報告。表彰式は3月17日に首相官邸で行なわれる。

 車いすテニスの世界的レジェンドである国枝氏は2日に、2022年度のプロスポーツ界で最も活躍した選手や団体を表彰する「第52回内閣総理大臣杯日本プロスポーツ大賞受賞式典」に出席した。

 車いすテニス界の第一人者として、2004年アテネから東京パラリンピックまで金メダル4個、計6個のメダルを獲得し、四大大会では通算50勝。生涯ゴールデンスラム達成など、前人未踏の快挙を成し遂げ、2022年度の『殊勲賞』と『NHK賞』を受賞した。

 式典後のトークショーで、国枝氏は現役引退を決意した瞬間を明かした。2021年東京パラリンピックで金メダルを獲得後、「かなり燃え尽きた」と同氏は振り返る。「もうこの先、あれ以上の自分自身の感動というものがないんじゃないかなと思って1年間戦っていた」と、当時の胸の内を語った。

 だが、パラリンピックで頂点を4度経験した男が、唯一手にしていないタイトルがあった。それが、テニス選手にとって憧れの場所であり、“聖地”と呼ばれるウインブルドンだった。「そこだけは頑張るぞ!という思いでやっていた」と言い、初のウインブルドン制覇をモチベーションにして練習に取り組んだ。

 そして昨年7月、5回目の挑戦となったウインブルドン選手権で悲願の初制覇を果たした。「ウインブルドンを優勝したので、その時にはコート上で『もう、これで引退だな』と。チームと抱き合いながら、最初に出た言葉がそれでしたね」と、当時の秘話を明かした。
 
 国枝氏は3日にツイッターを更新。式典で一緒だったボクシングのバンタム級で世界4団体統一王者となった井上尚弥、カタール・ワールドカップで日本代表を史上初の2大会連続ベスト16に導いた森保一監督らとのツーショット写真を添え、文面には次のように綴り、受賞を喜んでいる。

「日本プロスポーツ大賞殊勲賞&NHK賞をダブル受賞致しました。この賞は日本のプロスポーツ対象の大変栄誉ある賞です。車いすテニスをプロとして活動してきた事に誇りを感じられる一日でした」

 パラリンピック選手として国民栄誉賞受賞は史上初めてとなる。日本のパラスポーツの第一人者として長く活躍した男から、表彰後は一体どんな言葉が出るのだろうか。非常に楽しみだ。

構成●THE DIGEST編集部

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