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海外テニス

巧者マナリノへの敗戦で綿貫陽介が示した成長の証「準備してきた相手と対等に試合ができるようになってきた」<SMASH>

内田暁

2023.08.30

3度目のグランドスラム本戦で、初めて1回戦負けを喫した綿貫陽介。それは相手が綿貫を警戒して準備するようになってきた結果でもあった。(C)Getty Images

3度目のグランドスラム本戦で、初めて1回戦負けを喫した綿貫陽介。それは相手が綿貫を警戒して準備するようになってきた結果でもあった。(C)Getty Images

「やりにくさってよりも、彼の強さというか...サーブがいいですし、球際の処理がうまかったり、ボールの軌道が低かったり。そこはやっぱり、本当に彼の強さだと思います」

 今大会第22シード、世界35位の実力を、綿貫陽介は率直にそう認めた。

 全米オープンテニス初戦で当たったアドリアン・マナリノは、35歳のベテラン。柔らかなタッチの左腕から、緩く張ったストリングで弾くように豊富なショットを繰り出す。他にはあまり類を見ない、ユニークなスタイルと感性の選手。ただ綿貫は、その相手を「やりにくい」ではなく、「強い」と断言した。

 跳ねるような身のこなしから放つ豪快な一打の華やかさでは、綿貫に軍配が上がる。だがマナリノは綿貫の強打の威力を利し、静かなカウンターを次々とライン際に沈めていった。

 とりわけ綿貫が手を焼いたのが、相手のサービスゲーム。スピードこそそこまで速くはないが、コースの打ち分けと球種、そして3球目へとつなげる巧みの技に苦しめられた。
 
「コースも良く、最初は読めない場面も多かったし、触れるけれど3球目の組み立てがすごくうまい。デュースサイドは速く、アドサイドからはワイドへのスライスがすごい。2ポイント連続してポイントを取れないので、結構ストレスの激しい戦いでした」

 そのような心身のストレスが、通常以上のスピードで彼の体力を奪いもしたのだろう。第1セットを失い、第2セットは奪い返すも、この時点で「結構足が重くなってきた」という。綿貫にとっては、これが3度目のグランドスラム本戦。精神面も含めたペース配分も、これが54度目の本戦を誇る相手との経験の差だ。

 予選から本戦に出場した過去2度のグランドスラムは、いずれも初戦を突破。ランキングで本戦インした今大会は、結果的には初の初戦敗退となった。

 ただそれも、世界100位の壁を突破し、前哨戦でフェリックス・オジェ-アリアシムを破るなど知名度を上げてきたゆえでもある。

 現にマナリノは、綿貫を以下のように評した。
 
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