男子テニスのATPツアーを席巻した“ビッグ4”(ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マリー)時代に続き、新たな覇権争いの中心に躍り出たのが、ヤニック・シナー(イタリア/23歳/世界ランキング1位)とカルロス・アルカラス(スペイン/22歳/同2位)だ。両者は実力面で度々比較され、2人が築き上げている輝かしいキャリアや成長プロセスは、もはや近年のテニス界における“恒例の話題”と言っても過言ではない。
そうした中、元世界王者で四大大会を7度制した往年の名選手マッツ・ビランデル氏(スウェーデン/60歳)が2人の若きヒーローをプレースタイルの面から比較した。仏メディア『レキップ』によると、同氏は多彩なショットを武器とするアルカラスよりも、強打を軸としたシンプルなスタイルを持つシナーの方が現代のテニスプレーヤーにとっては参考にしやすいとの考えを示す。
「近頃のシナーのプレーを見ると、彼は僕がかつて想像していた未来のテニスの進化を5年、または10年くらい先取りしているように感じる。シナーはまさにその進化をリードする存在になっていて、いずれは多くの選手が彼をお手本にするはずだ。
なぜなら、アルカラスのようなテニスは誰もが身につけられるものではなく、特別な才能が必要になるからだ。一方でシナーのようなプレーなら誰でも目指すことができる。そこに求められるのは、卓越した才能ではなく、全力で取り組む献身的な姿勢だ」
今季はここまで最高峰の舞台である四大大会では全仏オープン(クレー)とウインブルドン(芝)の決勝で2人が顔を合わせ、前者はアルカラス、後者はシナーが勝利。しかしビランデル氏は2試合ともシナーの方が良いプレーをしていたと評しており、シナーが先のウインブルドンまで対アルカラス5連敗を喫していたことも不思議に思っていたと明かす。
「ウインブルドン決勝を見ていて、正直なところ、なぜアルカラスが直近5回の対戦で全てシナーに勝っていたのか、不思議で仕方がなかった。全仏オープン決勝もウインブルドン決勝も、僕自身はシナーのほうがより優れたプレーをしていたと考えている」
すでに貫禄すら感じさせるプレーぶりを見せているシナーとアルカラスだが、共に20代前半と若いだけにまだ伸びしろは大きい。事実2人は対戦するごとに、互いに成長を遂げている。ただビランデル氏によれば、“成長レベル”でもシナーがアルカラスを一歩リードしているように見えるとのことだ。
「2人の成長過程を長い目で見れば、この2年間でより大きく伸びたのはシナーの方だと思う。その意味では、アルカラスには今後もまだ大きな伸びしろがある。個人的には、アルカラスはプレー中のいくつかの場面で、ショットの選択を改善できる余地があると思う」
現状ビランデル氏はアルカラスよりもシナーを推しているようだが、この先の状況次第ではその見方が変わる可能性もある。2人のライバル関係は、今後もテニス界を熱く盛り上げていきそうだ。
文●中村光佑
【画像】ヤニック・シナーがついにウインブルドン初優勝!アルカラスとの熱戦を厳選ショットでお届け!
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【関連記事】ウインブルドン初優勝のシナー!コーチ陣が全仏での惜敗からの“切り替え力”を「稀有な資質」と賛辞<SMASH>
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「近頃のシナーのプレーを見ると、彼は僕がかつて想像していた未来のテニスの進化を5年、または10年くらい先取りしているように感じる。シナーはまさにその進化をリードする存在になっていて、いずれは多くの選手が彼をお手本にするはずだ。
なぜなら、アルカラスのようなテニスは誰もが身につけられるものではなく、特別な才能が必要になるからだ。一方でシナーのようなプレーなら誰でも目指すことができる。そこに求められるのは、卓越した才能ではなく、全力で取り組む献身的な姿勢だ」
今季はここまで最高峰の舞台である四大大会では全仏オープン(クレー)とウインブルドン(芝)の決勝で2人が顔を合わせ、前者はアルカラス、後者はシナーが勝利。しかしビランデル氏は2試合ともシナーの方が良いプレーをしていたと評しており、シナーが先のウインブルドンまで対アルカラス5連敗を喫していたことも不思議に思っていたと明かす。
「ウインブルドン決勝を見ていて、正直なところ、なぜアルカラスが直近5回の対戦で全てシナーに勝っていたのか、不思議で仕方がなかった。全仏オープン決勝もウインブルドン決勝も、僕自身はシナーのほうがより優れたプレーをしていたと考えている」
すでに貫禄すら感じさせるプレーぶりを見せているシナーとアルカラスだが、共に20代前半と若いだけにまだ伸びしろは大きい。事実2人は対戦するごとに、互いに成長を遂げている。ただビランデル氏によれば、“成長レベル”でもシナーがアルカラスを一歩リードしているように見えるとのことだ。
「2人の成長過程を長い目で見れば、この2年間でより大きく伸びたのはシナーの方だと思う。その意味では、アルカラスには今後もまだ大きな伸びしろがある。個人的には、アルカラスはプレー中のいくつかの場面で、ショットの選択を改善できる余地があると思う」
現状ビランデル氏はアルカラスよりもシナーを推しているようだが、この先の状況次第ではその見方が変わる可能性もある。2人のライバル関係は、今後もテニス界を熱く盛り上げていきそうだ。
文●中村光佑
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