フィギュアスケートのグランプリシリーズ第4戦NHK杯が11月8日、大阪・東和薬品ラクタブドームで行なわれた。女子フリーは坂本花織が今季世界最高得点となる合計227.18点で2連覇を達成。ショートとフリー両方で完璧な演技をみせた。その一方で、2022年北京五輪代表の樋口新葉は9位(168.27点)に低迷。演技直後には涙を流した。その意味とは――。
グランプリシリーズ初戦を迎えた樋口。今季限りでの現役引退を表明しており、集大成と位置付ける勝負の五輪シーズンは厳しいスタートとなった。6日の公式練習後に右足甲に痛みを抱えていることを告白。「疲労骨折じゃないけど...。(病院の)先生にも濁された」と苦笑いするほど、練習ができない時期を過ごした。万全のコンディションではないなか「自分の中での最大限を出せるように」と話し、今大会の目標を掲げていた。
だがやはり、勝負の世界は甘くなかった。難度をやや落としたショートは冒頭のダブルアクセルを軽やかに決めたが、2つ目はコンビネーションにできず2回転ルッツだけに。後半の3回転フリップはダウングレード(1/2回転以上の不足)が付く出来で10位発進となった。演技後は悔しそうな表情を浮かべ、「ジャンプのタイミングがズレちゃったのと、ミスをカバーしきれなかった。練習でできていたことができなかった」と唇をかんだ。
迎えたこの日。ジャンプは転倒や回転不足になる場面はあったが、樋口らしい気迫の込もった演技でまとめた。フィニッシュポーズを決めた直後は氷上に頭をうずめ、しばらく動けなかった。今できる最大のパフォーマンスを出し切った彼女は日の丸を揺らしながら声援を送る観衆の姿を見ると、感極まり目から光るものがこぼれた。
取材エリアに現れた樋口は開口一番、「今日は昨日と違って地に足がついたような感覚で滑ることができた。自分本来のジャンプだったり、力強さというのが一番滑れた」と振り返った。「できることを出し切ればと思っていた。フリーの方が自信を持って滑れていたので、そこを思い出しながらやった」と続けた。決して満足できる結果ではないが、表情は晴れやかにも見えた。
演技後に溢れた涙の意味を問われると、「最高のパフォーマンスができる状態ではないのが分かったうえでの試合だったので、滑り切れたことがすごく嬉しかったです。それと同時にあそこまでできたんだという自信と課題が見つかった」と今後への収穫を語る。「一番苦しい時に手拍子だったり、応援が聞こえたのですごく嬉しかった。6分間練習の時に『頑張れー』という声が聞こえたので、すごく力になった」と声援に感謝した。
樋口の次戦グランプリは早くも来週のアメリカ大会。「(連戦で)時間がないですけど足の状態と相談しながら、自分のできることをやりたい。今みたいな気持ちになるようなスケートがしたい」と前を見据える。
取材対応後には、樋口らしい明るい一面があった。頭につけた飾りが名前の頭文字「W」に見えると一部記者から指摘されると、「ワンダーウーマン?」と笑みを浮かべた。写真撮影を求められると、樋口は両手を「W」に見せて応じるサービスを披露。「新葉ウーマンでいいのかな」と、とびっきりの"新葉スマイル"が弾けた。
2026年ミラノ・コルティナ五輪へとつながる氷上サバイバル。2大会連続の夢舞台を目指す樋口の戦いはこれからも続く。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
【画像】氷上では涙も取材エリアで元気与える"新葉ワンダーウーマン"を公開
【記事】「あわわわわ…」SP首位発進、坂本花織を"女子フィギュア界超大物"が激励→無数のカメラフラッシュに海外記者は唖然「Wow…」【フィギュアNHK杯】
グランプリシリーズ初戦を迎えた樋口。今季限りでの現役引退を表明しており、集大成と位置付ける勝負の五輪シーズンは厳しいスタートとなった。6日の公式練習後に右足甲に痛みを抱えていることを告白。「疲労骨折じゃないけど...。(病院の)先生にも濁された」と苦笑いするほど、練習ができない時期を過ごした。万全のコンディションではないなか「自分の中での最大限を出せるように」と話し、今大会の目標を掲げていた。
だがやはり、勝負の世界は甘くなかった。難度をやや落としたショートは冒頭のダブルアクセルを軽やかに決めたが、2つ目はコンビネーションにできず2回転ルッツだけに。後半の3回転フリップはダウングレード(1/2回転以上の不足)が付く出来で10位発進となった。演技後は悔しそうな表情を浮かべ、「ジャンプのタイミングがズレちゃったのと、ミスをカバーしきれなかった。練習でできていたことができなかった」と唇をかんだ。
迎えたこの日。ジャンプは転倒や回転不足になる場面はあったが、樋口らしい気迫の込もった演技でまとめた。フィニッシュポーズを決めた直後は氷上に頭をうずめ、しばらく動けなかった。今できる最大のパフォーマンスを出し切った彼女は日の丸を揺らしながら声援を送る観衆の姿を見ると、感極まり目から光るものがこぼれた。
取材エリアに現れた樋口は開口一番、「今日は昨日と違って地に足がついたような感覚で滑ることができた。自分本来のジャンプだったり、力強さというのが一番滑れた」と振り返った。「できることを出し切ればと思っていた。フリーの方が自信を持って滑れていたので、そこを思い出しながらやった」と続けた。決して満足できる結果ではないが、表情は晴れやかにも見えた。
演技後に溢れた涙の意味を問われると、「最高のパフォーマンスができる状態ではないのが分かったうえでの試合だったので、滑り切れたことがすごく嬉しかったです。それと同時にあそこまでできたんだという自信と課題が見つかった」と今後への収穫を語る。「一番苦しい時に手拍子だったり、応援が聞こえたのですごく嬉しかった。6分間練習の時に『頑張れー』という声が聞こえたので、すごく力になった」と声援に感謝した。
樋口の次戦グランプリは早くも来週のアメリカ大会。「(連戦で)時間がないですけど足の状態と相談しながら、自分のできることをやりたい。今みたいな気持ちになるようなスケートがしたい」と前を見据える。
取材対応後には、樋口らしい明るい一面があった。頭につけた飾りが名前の頭文字「W」に見えると一部記者から指摘されると、「ワンダーウーマン?」と笑みを浮かべた。写真撮影を求められると、樋口は両手を「W」に見せて応じるサービスを披露。「新葉ウーマンでいいのかな」と、とびっきりの"新葉スマイル"が弾けた。
2026年ミラノ・コルティナ五輪へとつながる氷上サバイバル。2大会連続の夢舞台を目指す樋口の戦いはこれからも続く。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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