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東京五輪1年“延期”による選手への影響。チャンスが巡ってきた者、一線を退く者

生島淳

2020.10.07

延期をプラスに考える3選手。左から白井健三、ケンブリッジ飛鳥、山縣亮太。(C)Getty Images

延期をプラスに考える3選手。左から白井健三、ケンブリッジ飛鳥、山縣亮太。(C)Getty Images

 東京オリンピックの延期が決まってから、すでに半年が過ぎた。時はあっという間に過ぎていく。

 延期されたオリンピックの開会式が行なわれるのは、2021年7月23日。

 選手にとっては準備期間がたっぷり取れると考えられるのか、それとも長すぎる……と感じているのか。

●準備期間が増えた選手もいる

 延期をプラスに捉えている選手もいる。

 10月1日から新潟で行なわれた陸上の日本選手権、男子100メートルではケンブリッジ飛鳥が桐生祥秀と接戦の末、2位に入った。タイム差はわずか0秒01だった。

 敗れたとはいえ、ここ数年存在感が薄れていたケンブリッジが復活を遂げた印象だが、関係者はこう話す。

「2020年に入って、間違いなく状態は良くなりました。ただし、国際舞台で戦えるかどうかという視点でいうならば、まだ実力が足りないのも事実です。オリンピックが延期され、あと1年猶予があるのは大きい。もう一度、冬場に身体をしっかりと鍛えることができますから」

 100メートルの他の選手に目を転じると、今回の日本選手権では10秒00の自己ベストを持つ山縣亮太が負傷のため欠場。

「オリンピックにつながる走りができれば」と話していたが、今季は納得いく走りを見せることができていなかっただけに、じっくりと負傷した部位を治し、万全の状態で2021年を迎えてもらいたい。
 
 他の競技に目を転じてみよう。

 オリンピックが延期になったことで、ケガからの回復が見込める選手も多くいる。

 2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの体操団体で金メダルを獲得した白井健三はそのひとり。

「2020年にオリンピックがあったとしたら、100%代表入りは無理でした」

 と話す白井は、2019年からケガに悩まされてきた。昨年2月に左足首を痛め、走れなくなった。当然、練習も思うようにできず、2013年から続いた世界選手権代表の座を逃すと、8月には左肩を亜脱臼。今年に入ってからコロナ禍に見舞われ、練習もままならない状況に陥った。

「練習が再開してからも、日体大の後輩とは大きな声は出せないし、ハイタッチもできず、いい雰囲気を作るのは難しかったです」

 と語るように、コロナ禍は練習環境にも大きな影響を及ぼした。

 9月22日、全日本シニア選手権で実戦に復帰した白井は、「本当にゼロからのスタートです」と語ったが、この大会で個人総合は24位、得意の跳馬では3位に。

 東京オリンピックの顔と期待された白井にとって、1年延期は大きなプレゼントだったかもしれない。
 
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