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格闘技・プロレス

女子格闘家・浅倉カンナ 苦しみを乗り越えて生まれた家族の絆「みんなのために戦いたい」

保坂明美(THE DIGEST編集部)

2021.03.19

女子格闘家として第一線で戦う浅倉カンナ。強さとともに親しみやすい空気感を持つ。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

女子格闘家として第一線で戦う浅倉カンナ。強さとともに親しみやすい空気感を持つ。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

“格闘家”というと、勝手ながら「怖い」、「いかつい」となどと考えてしまいがちだが、浅倉カンナはそれを良い意味で覆す選手だ。

「以前はギラギラした“格闘家”の雰囲気を出していかないといけないのかもしれないと思ったのですが、途中から、『あ、これ無理だな』って思いました(笑)」

 3月21日には、愛知県・日本ガイシホールにて開催される『RIZIN.27』のメインイベントで、浜崎朱加とスーパーアトム級タイトルマッチを戦う浅倉カンナ(以後カンナ)だが、ビッグマッチを控えてもなお、その空気感は変わらない。それだけに、彼女が過ごしてきた背景に、俄然興味が沸いてくる。

 カンナは4歳上の兄と共に小学校2年生からレスリングを始めた。

「もともと運動神経が良くなくて、レスリングのセンスのある子は始めると結構すぐ強くなって試合に勝っていったりするんですが、自分はそんなことはまったくなくて、1試合勝つことも1年半くらいかかりました。
 父は、昔は本当に厳しくて、遊びに行く時間、テレビを見る時間があるなら練習しろって言われていました。私は4時に学校が終わり、父が7時に仕事から帰ってくるのですが、それまでの間、やっておけと言われたことを一生懸命やる日々です」
 
 もちろん父が帰ってきてからも練習は続く。とにかく基礎体力をつけるメニューを日々こなしていたという。

「今にして思えば…なのですが、自分にセンスがないからこそ、(父が)厳しくしてくれたということはあると思う。人よりやらなきゃ1勝もできないと思っていたんでしょうね。でもその当時はそんなことは全然わからないから、ただただやらされていたという感じでした」

 練習は坂道ダッシュや、公園での懸垂など、家の外で行なうことが多かったというが、ある日、父は庭にトレーニング設備を整えた。

「そこから地獄の日々です(笑)。家に帰ってきたらすぐに(練習場所が)あるから、ランドセル背負ったままで懸垂です。当時は強くなりたいというより、ひたすら父が怖かったというのが続けた理由でした」
 

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