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【日本ダービーを掘り下げる】激戦を制したシャフリヤール。成長を見込んだ皐月賞回避の決断は称賛に値

三好達彦

2021.05.31

福永騎手が「引き上げてくるまで(順位は)分からなかった」という大激戦を制し、シャフルヤールがダービー馬に輝いた。写真:産経新聞社

 "競馬の祭典"日本ダービー(GⅠ)が5月30日、東京競馬場で行なわれ、馬体を併せての激闘の末、単勝4番人気のシャフリヤール(牡3歳/栗東・藤原英昭厩舎)が1番人気のエフフォーリア(牡3歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)をハナ差で降して優勝。3歳馬の頂点に立った。

 走破タイムの1分22秒5は日本ダービーのレコードタイムだった。3着には9番人気のステラヴェローチェ(牡3歳/栗東・須貝尚介厩舎)が入り、牝馬としてただ一頭参戦したサトノレイナス(牝3歳/美浦・国枝栄厩舎)は5着に敗れた。
 
 名勝負だった。

 単勝オッズ1.7倍の圧倒的な人気を背負って無敗のエフフォーリアで臨んだ横山武史騎手は22歳。勝てば戦後の日本ダービー最年少優勝記録を更新するという若さは武器であるとともに、これまで対峙したことのない巨大なプレッシャーへの耐性を試される重責ともなり得る。
 
 一方、シャフリヤールの手綱をとる44歳の福永祐一騎手は、2018年のワグネリアン、昨年のコントレイルと、日本ダービーですでに2度の栄冠に輝いている手練れのベテラン。"勝利の味"を知っているという経験値の高さは何よりのストロングポイントになる。

 わずか10センチとも言われるハナ差の勝負を分けたのは、そうした立ち位置の違いが要因であったかもしれない。

 1番枠から抜群のスタートを切ったエフフォーリアは3~4番手のインにポジションを取る。可能であれば馬群の外へ出したかっただろうが、それは容易には叶わず、他馬に外からフタをされる形でインコースでの追走を余儀なくされる。

 シャフリヤールは目前にエフフォーリアを見る中団の前目をキープ。サトノレイナスも同様のポジションをとり、3番人気のグレートマジシャン(牡3歳/美浦・宮田敬介厩舎)は後方集団からレースを進めた。

 1000mの通過ラップは1分00秒3とやや遅く、第3コーナーを過ぎるとディープモンスター(牡3歳/栗東・池江泰寿厩舎)やアドマイヤハダル(牡3歳/栗東・大久保龍志厩舎)らが後方から一気に位置を押し上げると、サトノレイナスは押し出されるように先頭に並びかけるような形になる。エフフォーリアは、まだ変わらずインに押し込められたままだ。
 
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エフフォーリアの能力もタイトル奪取を強く予感させるものだった