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【安田記念を掘り下げる】ダノンキングリーの勝因、グランアレグリアの敗因は?秋戦線の期待場も紹介

THE DIGEST編集部

2021.06.07

ダノンキングリーがグランアレグリアをクビ差で降し、念願のGⅠ初制覇を成し遂げた。写真:産経新聞社

 6月6日(日)、春のマイル王決定性である安田記念(GⅠ、芝1600m)が東京競馬場で行なわれ、激しい追い比べの末、単勝オッズ47.6倍で8番人気のダノンキングリー(牡5歳/美浦・萩原清厩舎)が、1番人気のグランアレグリア(牡5歳/美浦・藤沢和雄厩舎)をクビ差で降し、念願のGⅠ初制覇を成し遂げた。3着には4番人気で、NHKマイルカップ(GⅠ)からの連勝を目指したシュネルマイスター(牡3歳/美浦・手塚貴久厩舎)が入り、3連単の払戻金は11万420円という波乱となった。

 単勝オッズ1.5倍という圧倒的な支持率で分かるように、多くのファンはグランアレグリアの"勝ち方"に注目していたわけだが、そうした期待は僅差で打ち砕かれた。

 五分のスタートを切ったグランアレグリアは序盤から行きっぷりが悪く、好位置が取れなかったばかりか、10~11番手のインに閉じ込められ、動くに動けない不本意なレースを強いられる。鞍上に促されながらインを追走した彼女はそのまま外からフタをされる形で直線へ向かう。外へ持ち出して一気の末脚を繰り出す"勝ちパターン"とは違い、馬群のなかへ突っ込んでいかざるを得なかった。

 それでも直線半ば、グランアレグリアは強引に進路を確保して目の覚めるような瞬発力を見せて、いったんは先頭をうかがったが、そこへスムーズな競馬で外から脚を伸ばしたダノンキングリーが急襲。2頭の激しい叩き合いになるなか、末脚の勢いに勝ったダノンキングリーに軍配が上がったのだった。
 
 勝ったダノンキングリーは3歳時、共同通信杯(GⅢ)を制すると、皐月賞(GⅠ)でタイム差なしの3着、日本ダービー(GⅠ)でもクビ差の2着に健闘。その後、一昨年の毎日王冠(GⅡ)、昨年の中山記念(GⅡ)を制し、大阪杯(GⅠ)で3着に食い込むなど、クラシックで好戦を続けていた能力の高さを随所に見せていた。

 今レースで評価が低かったのは、昨年の天皇賞・秋(GⅠ)で12着に大敗し、7か月にもわたる長期休養を経ての復帰戦だったからだ。ただそれでも、いまや乗り馬を選べる立場にある川田将雅騎手が、ダノンプレミアム(牡6歳/栗東・中内田充正厩舎)よりも本馬を選んだところに、その状態の良さが窺い知れたのも確かであった。

 川田騎手が「こういうメンバー相手でも勝ち切れる能力の高さがこの馬の本来の姿だと思う」と語れば、萩原調教師は、「今日はジョッキーの好騎乗に尽きる。現状の力を十分に発揮させてくれた」とコメントして、愛馬とともに鞍上の手腕を称賛した。
 
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グランアレグリアは、「前走と手応えがまったく違っていた」

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