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ゴルフ

全米女子オープンを制した19歳の笹生優花。前半崩れるも「自分のゴルフ」を貫けた要因は?

山西英希

2021.06.08

最終日の前半で連続ダブルボギーも落ち着いたプレーで、巻き返した笹生。(C)Getty Images

最終日の前半で連続ダブルボギーも落ち着いたプレーで、巻き返した笹生。(C)Getty Images

 女子ゴルフの大会では最も権威がある『全米女子オープン』。1945年から始まり、今年で76回目を数えた。歴代優勝者にはそうそうたる名前が並び、女子ゴルファーなら誰もが一度は優勝カップを掲げたいと願う。そんな歴史ある大会を笹生優花が畑岡奈紗とのプレーオフの末に制した。しかも最年少優勝(19歳と351日)という記録まで打ち立てたのだ。

 笹生の勝因は何といってもメンタルの強さだろう。最終日を首位と1打差の単独2位でスタートしながら、いきなり2番、3番ホールで連続ダブルボギーを叩けば、普通はそのままズルズルと後退していくものだ。実際、笹生自身もかなりイライラしたと胸の内を明かしていたが、見事にそこから立ち直る。なんと4番ホール以降の15ホールを3バーディ、1ボギーで収めたのだ。

「キャディから『まだホール数がたくさん残っている。自分を信じて前へ進もう』と励まされたことで、気持ちを切り替えることができました」と語っていたが、その言葉自体が耳に入るだけの余裕が笹生にはあったとも言える。
 
 国内ツアーでは大事なところでボギーを叩いても、「それがゴルフだから」と割り切っていたが、海外メジャーでもそのスタンスを変えていなかった。勝ちたい気持ちは当然あるものの、自分を見失わない冷静さを保ち続けたからこそ、後半の巻き返し、ひいてはプレーオフでも自分のゴルフを貫けたのだろう。

 また、海外のトッププロにも負けない強靭な足腰の持ち主だということもアピールできた。勝負を決したプレーオフ3ホール目、笹生は左の深いラフからピン手前2メートルにつけるスーパーショットを放った。いくら短いクラブで打ったとはいえ、下半身がしっかりしていないとイメージどおりの距離感は出せない。師匠であるジャンボ尾崎によれば、笹生の良さはなんといっても下半身の強さにあるという。「パワーは大きな筋肉から生まれるだけに、下半身を鍛えない限りパワフルなスイングはできない。笹生の太腿やお尻の大きさは相当努力を重ねてきた証明でもある」と開幕前に絶賛していたが、これまで行なってきた地道な努力が今回の結果につながったことは間違いない。
 
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