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ラグビー

再始動したラグビー日本代表のキーワードは「継続性」と「コネクト」。経験者が目立つなか注目新戦力の顔も

向風見也

2021.06.11

キャプテンのリーチは「信頼し合っていたこと」がワールドカップの成功につながったと語る。(C)Getty Images

キャプテンのリーチは「信頼し合っていたこと」がワールドカップの成功につながったと語る。(C)Getty Images

 2019年のワールドカップ(W杯)日本大会で8強入りしたラグビー日本代表が、約1年7か月ぶりに動き出した。6月12日に静岡・エコパスタジアムで強化試合を行ない、26日以降は欧州でふたつのテストマッチ(代表戦)に臨む。
 
 キーワードは「継続性」と「コネクト」だ。

 2023年のW杯フランス大会に向け、従前のジェイミー・ジョセフヘッドコーチら首脳陣の多くが残留。さらに5月24日に発表された代表メンバー36名のうち19名が日本大会組だ。自国開催大会に出た31名のうち約3分の2が今回も名を連ね、なかには今年5月までの国内トップリーグ時に怪我をしていた選手もいた。首脳陣は経験者を深く信頼する。

 リーダー陣の顔ぶれも、辞退者を除けばそう変わらない。

 タフなプロップの稲垣啓太がスクラム、センターで近年充実の中村亮土が防御、一時は代表引退も匂わせたスタンドオフの田村優が攻撃を引っ張り、接点では日本大会でゲーム主将も担ったフランカーのピーター・ラブスカフニが水準を示す。

 主将は、直近2度のW杯に続いてフランカーのリーチ・マイケルが務める。指揮官は言った。

「他の主将を考えなかったわけではないですが、継続性を大事にしました」

 中心選手が首脳陣の意を汲み、グラウンド内外での取るべき態度を示すのがジョセフジャパン流だ。リーチは「前回(日本大会時)のチームの強みはリーダーシップグループとスタッフが信頼し合っていたこと」と述べ、続ける。

「コネクションにフォーカスしています。お互いにコネクトし合うことも、(それぞれが)チームとしての日本代表へコネクトすることも大事」

 特に相互の「コネクト」のため、熟練者と初選出組による数名ひと組の「グローカルグループ」を作った。
 

 32歳で約4年ぶりに復帰したフランカーの小澤直輝は、同期のリーチと一緒の組に入り「空いている時間にさっと集まって、意識する点、日本代表でプレー中に使うワードを共有してくれました」と感謝。練習の録画映像も、1人ではなく複数人で振り返る。

 各所で経験者が目立つなか、注目される新戦力はフランカーのベン・ガンター、スクラムハーフの齋藤直人、センター兼ウイングのシオサイア・フィフィタか。いずれも、スーパーラグビー(国際リーグ)に日本から参戦したサンウルブズでのプレー経験がある。

 なかでも2020年シーズンに帯同した1人が、現サントリーの齋藤。スーパーラグビーの機能が停止する3月中旬までの約1か月半、世界に触れたが、当時は早大4年生だった。

「大学からトップリーグに上がる前にスーパーラグビーを経験したことで、トップリーグのスピード感、フィジカルのところで驚きがなかった。身体、目が慣れていた印象でした」

 大規模な競争や新陳代謝は、この夏以降になされそう。今度のツアーではイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの連合軍であるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズと対戦するとあり、2019年までの蓄積をもとに必勝態勢を整える。

 それに先立ち開かれるのが、静岡・エコパスタジアムでの強化試合。特別編成されたサンウルブズが相手だ。

 日本代表の先発に13名の日本大会組が並ぶ傍ら、別府合宿参加者の一部はサンウルブズ側へ回る。鎬を削る。現状の勢力図に風穴が開くようなシーンは、いくつ見られるだろうか。

文●向風見也

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