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格闘技・プロレス

「完全燃焼できました!」“失明のリスク”を負った佐山駿介が21分13秒のラストマッチでリングに別れを告げる【TTT】

萩原孝弘

2021.06.16

佐山駿介(左)がプロレス人生に終止符を打った。

佐山駿介(左)がプロレス人生に終止符を打った。

6月13日 TTT BIG MATCH 2021 東京・新宿FACE  観衆234人(札止め)
 
「佐山駿介というプロレスラーがいたんだということを、リングで表したいと思っています」。先月、新木場で行なわれたTTT「ATTACK 5」のエンディング前に、リング上で突然の引退を発表した佐山駿介。決断に至るまで、心の葛藤は凄まじかった。

 2020年1月25日に産声をあげたTTT。フリーランスとしてインディプロレス界で暴れまくっていた佐山は、旗揚げメンバーとしてTTTに加入した。所属の4人ではキャリアも年齢も一番下だったが「先輩をひとりひとり越えていく」との野望に燃え、日々鍛錬を積んだ。

 生まれたての団体は、6月エースTORUが負傷で長期離脱し、いきなりのピンチを迎えるが、着実に実力をつけてきた佐山がメイン戦線で奮闘。急成長で団体を救う躍動を見せ、CIMAとのシングルでも好ファイトを展開し、「佐山!名前は覚えさせてもらったぞ。2020年でくらった蹴りでダントツ一番効いた蹴りだった」とまで言わせしめた。一周年記念興行では、因縁の相手・藤原秀旺を撃破しCCW認定カナディアンヘビー級王座の座を手中に収め、名実ともにトップに立った。

 しかし激闘の代償は、思ったよりも甚大だった。
 
「最初の網膜剥離、手術は高校1年生時夏でした。生まれつき網膜が薄く、剥離しやすいことで、受け身をとっても目に影響が出るほどでした。TTTに入る前から飛蚊症は多少なりありましたが、酷くなった時期は去年のハードヒットの試合を終えてですね」と、目の持病は日々深刻な状況に。なんとか好転させようと地元横浜の伝手を頼って、網膜剥離の名医も紹介してもらった。試合後には必ず診察を受け、レーザー治療など最善の手は打ったが、試合を重ねるに連れ「徐々に飛蚊症も酷くなりました。お医者様からも『失明の可能性は増えている』との診断でした」と事実上のドクターストップをかけられてしまった。

 大好きなプロレス、築いてきた地位、TTTを大きくしたい、身体もどんどん進化、もっと強くなれる、辞めたくはない、志は半ばだがその先にある“失明”のリスク……。「今までプロレスで生きてきた人間なので頭が真っ白になり何も考えられなかった」と放心状態に陥った。熟考に熟考を重ねた結果「0か100かでやりたいと思い続いやってきた自分のスタイル。自分がしたい戦い方ができないなら辞めようと引退を決意しました」と、苦しみながらも決心し、団体にも意向を伝え、受諾された。
 
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