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バレーボール

トルコ代表の21歳大砲が母国でLGBTQの中傷被害に。東京五輪で公表3倍も進まぬ理解

THE DIGEST編集部

2021.08.19

東京五輪でも活躍したカラクルト。現在は、欧州選手権に出場中だ。(C)Getty Images

東京五輪でも活躍したカラクルト。現在は、欧州選手権に出場中だ。(C)Getty Images

 東京五輪で活躍したバレーボール女子トルコ代表選手が、SNSアカウント上で交際中の女性とのツーショットを公開したことで誹謗中傷を受ける事態が起きている。英国公共放送局『BBC』がその詳細をWEB版で報じている。

 被害を受けているのは、トルコ女子代表として東京五輪バレーボール競技に出場したエブラル・カラクルトだ。サイドを刈り上げたピンク色の奇抜なヘアスタイルと身長199cmから繰り出す豪快なアタックで強烈なインパクトを残した21歳オポジットは、同代表の準々決勝進出に大きく貢献。また、日本代表を退けて3位となった前哨戦のネーションズリーグでは、決勝ラウンドのトップスコアラーに輝いた若き逸材だ。

 五輪を終えてトルコに帰国したカラクルトは、自身のインスタグラムアカウント上に、交際中の女性との親密なツーショット画像を投稿。すると、LGBTQ(セクシャルマイノリティ)であることを公にした同選手に、痛烈な批判や中傷誹謗、不快感をあらわにしたコメントが殺到したという。この事態を受けて、トルコ代表主将のエダ・エルデム デュンダルを始めとするチームメートたちがそれぞれのSNSアカウントを通じて同選手を支持、支援する意向を表明。同国のスポーツ関係者、アーティストや政治家らも今シーズンからバレーボール界トップリーグ、イタリアセリエAでプレーすることが決まった新鋭を擁護してLGBTQへの理解を求めている。
 
『多様性と調和』をテーマの1つに掲げた東京五輪が閉幕してからまだ10日あまり。称賛を受けるはずだったカラクルトは、母国の人々からネット上で辛辣な攻撃が続いたため、画像を削除。投稿からおよそ16時間で「いいね!」が16万回を超え尊重する声も多く上がっているが、現在まで選手本人からコメントなどの発信はない。

 LGBTQのアスリートに特化した米国のスポーツ専門メディア『Out Sports』によると、東京五輪にLBGTQを公表して出場したアスリートはこれまでの五輪で最多の183人で、前回のリオ五輪(53人)から3倍以上増加したと言う。その要因については、理解の拡大と個人が直接発信できるソーシャルメディアの普及と同性婚の合法化がもたらした変化と説明している。

 ポジティブな流れがある一方で、セクシャルマイノリティのための国際連盟(ILGA)が各国におけるLGBTQの人々の人権保護に関する法整備や政策、社会状況などを調査して数値化したランキングでは、別の側面が浮き彫りにされている。欧州(EU正式加盟候補国などを含む)49か国の中でネット誹謗中傷の被害を受けたカラクルトの母国トルコは48位。宗教や慣習が現状に色濃く影響している国は、LGBTQに対する理解促進を妨げる場合があることも事実だ。

 渦中のカラクルトは現地18日に開幕した欧州選手権に出場中。先発出場した初戦(対ルーマニア)で試合最多26得点を挙げ、周囲の心配を払拭するパフォーマンスを見せている。

構成●THE DIGEST編集部

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