専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【秋華賞】惨敗のソダシに不穏な素振り…ゲート内での“アクシデント“は母系の血統の影響か

三好達彦

2021.10.19

アカイトリノムスメ(左)がG1初制覇。ソダシ(右)は終盤に伸びず大敗を喫した。写真:産経新聞社

アカイトリノムスメ(左)がG1初制覇。ソダシ(右)は終盤に伸びず大敗を喫した。写真:産経新聞社

 第26回の秋華賞(GⅠ、芝2000m)が11月18日、例年の京都から舞台を移して阪神競馬場で行なわれ、単勝4番人気のアカイトリノムスメ(牝3歳/美浦・国枝栄厩舎)が、2番人気のファインルージュ(牝3歳/岩戸孝樹厩舎)を半馬身抑えて優勝。3着には3番人気のアンドヴァラナウト(牝3歳/栗東・池添学厩舎)が食い込んだ。

 一方、オッズ1.9倍という圧倒的な人気を集めた桜花賞馬にして、白毛であることから”純白のアイドル”とも呼ばれるソダシ(牝3歳/栗東・須貝尚介厩舎)は直線で失速。勝ち馬とは0秒9差の10着に大敗する波乱となった。

 レースは予想どおりにエイシンヒテン(牝3歳/栗東・渡辺薫彦厩舎)の逃げでスタートし、ソダシは2番手の好位置へ。アンドヴァラナウトとアカイトリノムスメはそれらの馬を前に見る5~6番手付近を追走した。

 1000mの通過ラップは1分01秒2と、降雨の影響でややタフになった馬場状態(発表は「良」)を考えれば平均ペース。3コーナー付近から中団以後にいた馬たちも先行勢との差を詰めながら、最後の直線へと向かう。

 エイシンヒテンが粘るなか、ソダシもラストスパートに入るが、そのフットワークにはいつもの力強さが見られない。

 そこへ手応えよく伸びたアカイトリノムスメとアンドヴァラナウトが並んで追撃に入ると、外からはファインルージュが鋭い伸び脚で急襲。ゴール前は3頭の激しい競り合いとなったが、そのなかから早めに抜け出し、迫るファインルージュを半馬身抑え切ったアカイトリノムスメが栄冠を勝ち取った。

 ソダシは末脚をなくし、次々と後続に交わされて10着。またオークス馬で、ここでも5番人気に推されていたユーバーレーベン(牝3歳/美浦・手塚貴久厩舎)は後方のまま13着に終わった。 
 
 アカイトリノムスメは、父ディープインパクト、母アパパネとも三冠馬であり、母の父はNHKマイルカップと日本ダービーの”変則二冠”を制したキングカメハメハという、「超」の字が付く良血馬。父、母、母の父、そして母の母(国枝栄厩舎に所属したソルティビッド)、そのすべてが金子真人オーナーの所有馬だった、いわゆる”金子血統”の結晶である。ちなみに本馬の名前は、アパパネ(ハワイに生息する赤色の鳥)の娘であることから付けられたものだという。

 桜花賞は0秒2差の4着、オークスは0秒1差の2着と、善戦しながらも戴冠までには至らなかったが、ひと夏越しての成長を武器に最後の一冠で見事に雪辱を果たしたアカイトリノムスメ。奥深い血統だけに、この先の活躍も大いに期待できそうだ。

 また、素早く先団の好位置を取る積極的なレース運びで彼女を勝利へ導いたのは、久々に手綱をとった戸崎圭太騎手。ベテランらしい巧みさはもちろん、中央へ移籍した当時に漲らせていた気迫さえも感じさせる素晴らしい騎乗だった。

 さて、ソダシの惨敗である。

 桜花賞までの5連勝、また札幌記念(GⅡ、札幌・芝2000m)の内容を考えれば、これほど凡走するのは考えづらいところだ。

 スポーツ紙やウェブ記事によると、須貝尚介調教師がレース後に「歯がグラグラしていた」のを確認した旨が報じられている。レース映像をプレイバックすると、たしかにソダシはゲート内でゴソゴソと落ち着かない様子を示し、その際に顔を扉にぶつけたようにも見える。これが大敗の原因であれば、予測不能のアクシデントであり、不運としか言いようがない。

 ただ気になったのは、吉田隼人騎手がコメントした件だ。この日のソダシが、ポケットから出るのに時間を要したり、ゲート入りを嫌がったりと、これまで目立たなかった不穏な素振りを見せていた点である。3コーナーからすでに鞍上の手が激しく動いていたのも目についた。

 実はソダシの母ブチコは気性のコントロールが難しいことで知られ、ゲートの扉をこじ開けて飛び出したことなどの悪癖で3度の出走停止、発走調教再審査の処分を受けている。そして、それが現役生活からの引退を早めたとも言われている。

 今はそうした母の気性を受け継ぐことなく、須貝調教師が言うところの「走ることが大好き」なソダシの復活を祈るのみである。

文●三好達彦

【関連動画】アカイトリノムスメが競り合い制してG1初制覇!1番人気のソダシは次々に交わされて10着に
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号