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「ループに挑戦したい」ネイサン・チェンが挑んだ4回転6本構成は実現するか? “絶対王者”が抱くジレンマ

THE DIGEST編集部

2021.10.25

総合3位で終えたネイサン・チェン。表彰台で中央にいない姿も久しく見せていなかった。(C)Jay Adeff/U.S. Figure Skating

 現地時間10月23日、フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦アメリカ大会の2日目が実施された。

 男子シングルのネイサン・チェンは、前日に行なわれたショートプログラム(SP)を4位と大きく出遅れ、フリースケーティング(FS)での挽回を狙った。同大会5連覇がかかった勝負で、4回転ジャンプ5種6本に臨むという前人未踏の構成で臨んだが、予定していたルッツとサルコーが2回転となり、186・48点とフリーで2位の成績にとどまった。そのため、総合269・37点で最終順位は3位に終わっている。

 現地では「平昌五輪での5位という成績を残して以降、2018年の世界戦選手権から2021年の世界選手権まで続いた連勝記録は「14」でストップした」(『NBC Sports』)と報道されるなど、大きな驚きが広がっている。

 ただ、本人は試合後のプレスカンファレンスで「それは今日じゃなくても、いつかは終わるものだった」と淡々と語った。そして優勝したヴィンセント・ジョウ、2位の宇野昌磨に対して、「ふたりのスケーターは本当に素晴らしいと思う。特にヴィンセントの勝利はチームメイトとしてとても嬉しい」と述べている。

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 また、チェンは、連勝記録が途絶えたことよりも、自身の試合への向き合い方や内容に思うところがあったようだ。

「ものすごく落ち込んでいるというわけではなく、成し遂げてきたことには満足している。ただ、僕はもっと振り返って反省する必要がある。今はそれが最優先事項で、起こってしまったことを見つめ直したい。挑戦したことと達成したことは全く別で、(4回転)ループは挑戦したいけれど、今シーズンでどこまで出来るかはわからない。挑戦することでリスクは高くなるので」

 ちなみに、チェンは来週末に行なわれるスケートカナダに参加する予定だ。休む間なく訪れる勝負の場について、「この大会から学び、前に進まなければならない」と前向きなコメントを残した一方で、「来週に向けて集中力を高め、その後は休暇を取って、いろいろなことに取り組んでいきたい」と語っている。

 チェンはこれまで4回転ジャンプを含む高難度構成に積極的に取り組み、2021年3月の世界選手権のフリーでは4回転ジャンプ5本を着氷している。リベンジに挑むオリンピックに向け、22歳の競技者はどのような選択をするのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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