10月31日、第156回 天皇賞(秋)(GⅠ、芝2000m)が東京競馬場で行なわれ、3番人気のエフフォーリア(牡3歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)が優勝。1番人気のコントレイル(牡4歳/栗東・矢作芳人厩舎)を2着、2番人気のグランアレグリア(牝5歳/美浦・藤沢和雄厩舎)を3着に降しての栄冠で、3歳馬の勝利は2002年のシンボリクリスエス以来19年ぶりの快挙となった。
また、初騎乗で殊勲の勝利を挙げた横山武史騎手は、祖父の富雄さん(1969年のメジロタイヨウ)、父の典弘騎手(2009年のカンパニー)に次いで、JRA史上初となる天皇賞の親子三代制覇を達成した。
やはり”3強”は別格だった。そのなかでも、”現役最強女王”のグランアレグリアを力強く交わし、追いすがる前年の三冠馬コントレイルを1馬身も突き放したエフフォーリアの強さが際立つレースとなった。
レースを振り返ってみる。
好スタートを切ったグランアレグリアが素早く2番手に付けると、エフフォーリアは中団の6番手。もともとゲートに難があるコントレイルはほんの一瞬、飛び出しが遅れたために9番手付近を追走することになった。
当日の昼間で降った雨の影響もあって、馬場状態は「稍重」に近い「良」という、やや時計がかかるコンディション。そのため1000mの通過ラップは1分00秒5と、字面はGⅠレースとしては遅めと感じられるタイムとなったが、実際にはかなりタイトと言える流れだった。
そして迎えた直線。
坂下からグランアレグリアが真っ先に仕掛けて先頭に立つが、そこから本来のシャープなフットワークが見られない。その様子を見ながら徐々に仕掛けたのがエフフォーリアで、コントレイルが忍び寄って来るのを察知して一気にスパート。すると、ひと夏を越して一段とたくましくなった500kg超の馬体から力感あふれる末脚を繰り出してグランアレグリアを交わし去り、懸命に追い込んでくるコントレイルをしっかりと封じて、堂々とトップでゴールを駆け抜けた。
鞍上の横山武史騎手はステッキを持った右手を突き上げる。それは、これまでビッグレースを制したときに父の典弘騎手が見せてきた喜びの表現と瓜二つだった。
絶妙なレース運びで栄冠を引き寄せた横山武史騎手は引き揚げてきた際に落涙するシーンが見られた。それはハナ差で逸した日本ダービーでの悔しさが晴らされたことによるものだった。
ダービーのあと、横山騎手が「もっと我慢して仕掛けていれば(勝てたのではないか)…」と盛んに悔しがっていたことは筆者も耳にしていた。結果論ではあるが、実際にその一瞬の判断が惜敗につながったのは確かだろう。
悔恨のダービーから約5か月。ゆっくりと仕掛けながら、コントレイルが来るのを待って本格的にグイグイと追い始めた若武者、横山武史騎手の絶妙な騎乗ぶり、修正能力と度胸には舌を巻いた。
彼がクリストフ・ルメール、川田将雅、福永祐一というリーディング争いにおける”3強”に迫り、おびやかす日はそう遠くないはずだ。
また、初騎乗で殊勲の勝利を挙げた横山武史騎手は、祖父の富雄さん(1969年のメジロタイヨウ)、父の典弘騎手(2009年のカンパニー)に次いで、JRA史上初となる天皇賞の親子三代制覇を達成した。
やはり”3強”は別格だった。そのなかでも、”現役最強女王”のグランアレグリアを力強く交わし、追いすがる前年の三冠馬コントレイルを1馬身も突き放したエフフォーリアの強さが際立つレースとなった。
レースを振り返ってみる。
好スタートを切ったグランアレグリアが素早く2番手に付けると、エフフォーリアは中団の6番手。もともとゲートに難があるコントレイルはほんの一瞬、飛び出しが遅れたために9番手付近を追走することになった。
当日の昼間で降った雨の影響もあって、馬場状態は「稍重」に近い「良」という、やや時計がかかるコンディション。そのため1000mの通過ラップは1分00秒5と、字面はGⅠレースとしては遅めと感じられるタイムとなったが、実際にはかなりタイトと言える流れだった。
そして迎えた直線。
坂下からグランアレグリアが真っ先に仕掛けて先頭に立つが、そこから本来のシャープなフットワークが見られない。その様子を見ながら徐々に仕掛けたのがエフフォーリアで、コントレイルが忍び寄って来るのを察知して一気にスパート。すると、ひと夏を越して一段とたくましくなった500kg超の馬体から力感あふれる末脚を繰り出してグランアレグリアを交わし去り、懸命に追い込んでくるコントレイルをしっかりと封じて、堂々とトップでゴールを駆け抜けた。
鞍上の横山武史騎手はステッキを持った右手を突き上げる。それは、これまでビッグレースを制したときに父の典弘騎手が見せてきた喜びの表現と瓜二つだった。
絶妙なレース運びで栄冠を引き寄せた横山武史騎手は引き揚げてきた際に落涙するシーンが見られた。それはハナ差で逸した日本ダービーでの悔しさが晴らされたことによるものだった。
ダービーのあと、横山騎手が「もっと我慢して仕掛けていれば(勝てたのではないか)…」と盛んに悔しがっていたことは筆者も耳にしていた。結果論ではあるが、実際にその一瞬の判断が惜敗につながったのは確かだろう。
悔恨のダービーから約5か月。ゆっくりと仕掛けながら、コントレイルが来るのを待って本格的にグイグイと追い始めた若武者、横山武史騎手の絶妙な騎乗ぶり、修正能力と度胸には舌を巻いた。
彼がクリストフ・ルメール、川田将雅、福永祐一というリーディング争いにおける”3強”に迫り、おびやかす日はそう遠くないはずだ。