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角田裕毅の「ヒーロー」はF1にはいない?F3時代に「レース観戦は退屈」と語った若武者が最も大事にするものは

THE DIGEST編集部

2021.11.04

角田にとってレースは

角田にとってレースは"見るもの"ではなく、"やるもの"であるようだ。(C)Getty Images

 F1は今週末からメキシコ、ブラジル、カタール・グランプリと3週連続開催という厳しい日程に突入する。スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅にとっては、いずれも初体験のコースということで、ハンデを背負ってのレースを強いられることになるが、アメリカGPの再現が期待される。

 来るレースへの準備に余念がないルーキーだが、アルファタウリではレースの合間を縫って、チームメイトのピエール・ガスリーとともに様々なテーマでの動画を収録し、YouTubeの公式チャンネル等で公開されている。

 2人の仲の良さが前面に出ているものや、爆笑を誘うようなものもある魅力的なこの動画だが、11月1日に公開されたのは、「ロールモデル(模範となるドライバー)」というテーマで彼らが語る定番のもの。そして、角田が模範としたのはアントワーヌ・ユベール。将来を嘱望されるも、2019年にベルギーでのF2レース中に事故死した当時22歳のフランス人ドライバーを挙げた理由を、「スパでのレースで最初から最後までプッシュしているのを見て、強い印象を受け、またドライビングスタイルからも刺激を受けました」と語った。

 そのユベールとはカート時代からの大親友だったガスリーは、「多くのドライバーから影響を受けた」と明かし、「世代は違うが、アイルトン・セナもそのひとり。ドキュメンタリーなどでレースやプライベートの映像を見るだけでも凄いと思った」と、多くの伝説を残して1994年に悲劇的な最期を遂げたブラジルの英雄の名を挙げている。
 
 また、彼の最大の好敵手だったアラン・プロストについても「F1史上最も成功したフランス人ドライバー」として影響を受けたとし、他にも「F1を見始めたころから子どもながらに大きな影響を受けた」ミハエル・シューマッハー、「10歳でカートをやっていた頃にF1デビューし、そのアグレッシブなレースへの姿勢に憧れた」というルイス・ハミルトンも模範の対象だと語った。

 角田に話を戻すと、彼にとって「ヒーローと呼べるドライバーはいない」と回答。しかし、「7歳の時に富士スピードウェイで見たF1で走っていたハミルトンやフェルナンド・アロンソと今、一緒に走れることにはワクワクします」とも語っている。

 先日、F1公式サイトが公開した角田を特集した記事において、彼がF3時代に所属したイェンツァー・モータースポーツのアンドレアス・イェンツァー代表は、「2018年のアブダビGPでレース観戦に誘った時、ユウキは『イェンツァーさん、僕はモータースポーツにはそんなに興味がありません。僕が楽しいと思うのはドライビング、そしてメカニックやエンジニアと仕事をすることで、レース観戦はとても退屈です』と答えた」と回想している。

 ここからも分かるように、角田は「レースは見るものではなく、やるもの」というタイプのアスリートなのだろう。彼自身は特定のドライバーに憧れを抱くことなく、ただレースを楽しみ、速さを追求しながら、ついに最高峰のF1まで辿り着いたわけだが、そんな彼に対し、多くのドライバーの卵たちが憧れのまなざしを向けていることだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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