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中国人初のF1ドライバー、周冠宇に母国メディアは「夢の実現」と歓迎! 一方で欧州からは“怒り”の反応も

THE DIGEST編集部

2021.11.19

中国人初のF1ドライバーという栄誉を手にした周冠宇。中国レース界の誇りであり、中国の全てのファンがF1でのパフォーマンスを楽しみにしている。(C)Getty Images

 11月16日、F1のアルファロメオ・レーシング・オーレンは、来季から新加入するヴァルテリ・ボッタスのチームメイトとして、22歳の中国人ドライバー、周冠宇(ジョウ・グアンユー)をデビューさせると発表した。

 1999年5月30日に上海で誕生した周は、7歳でカートを始め、11歳で欧州に移り住んで勝利を重ねながらドライビングの腕を磨いた後、2015年にイタリアのF4に参戦していきなり台頭。翌年よりヨーロッパF3で3シーズンを戦った後、2019年からF2に昇格し、1年目は総合ランキング7位、昨季は6位と進化を遂げ、今季は残り6戦(全8戦)を終えた段階で3勝を挙げてオスカー・ピアストリに次ぐ2位につけている。

 中国人初のF1ドライバーという栄誉を手にした青年は、チームの公式サイトを通して、「子どもの頃から情熱を注いできたこの競技で高みに登ることを夢見てきて、今、それが実現しました。過去に多くの若い才能をF1に輩出してきたシンボル的なチームでキャリアを始められて光栄です」とコメント。さらに「実績十分のワールドクラスの才能のタレントであるボッタスとともに、レースの頂点であるF1での大きな挑戦に備えるのは、最高の気分です」と喜びを表わし、次のように続けた。

「来年の目標は、できるだけ多く、そして早く学ぶことです。F1で初めての中国人ドライバーになるのは、中国のモータースポーツの歴史にとって画期的です。多くの希望が、私にかかっていることを承知しています。そして、いつものように私はこれを、より向上し、より多くを達成するためのモチベーションとしています」
 これに対し、アルファロメオのフレデリック・ヴァスール代表は「周をチームに迎え入れられて光栄だ。F2での結果が示すように、彼は非常に才能のあるドライバーであり、F1でその才能がさらに開花するための一助となれることを楽しみにしている。また、新たな中国人ファンを歓迎することも楽しみにしています。アルファロメオは歴史的で、F1の精神を体現するブランドであり、中国での我々のスポーツの経験を素晴らしいものにするために全力を尽くす」とコメントを発表している。

 若きホープの挑戦を受け、母国通信社『新華社』は、「周が中国のF1の夢を実現」と報じ、独占インタビューのなかで、「中国にはF1に向けて最善の道に導いてくれる存在がいなかったので、難しいプロセスだった」「経験豊富なボッタスから多くを学び、チームに効果的なフィードバックができるよう尽力する」「最初のシーズンの目標は何よりもポイントを獲得すること」などのコメントを紹介した。
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