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阪神JFの主役は若駒離れした安定感のウォーターナビレラ!対抗格はナミュールとステルナティーアか

三好達彦

2021.12.10

ウォーターナビレラが勝てば、武豊騎手、武幸四郎調教師と"兄弟コンビ"によるGⅠ制覇となる。写真:産経新聞社

 12月12日、来春の牝馬クラシックを占う2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ・芝1600m)が行なわれる。

 近年は人気馬が上位占めて堅い決着となっているが、キャリアが少ない馬同士の対戦であるため、少しさかのぼると2桁人気馬が馬券に絡んで大荒れとなるケースも多い一戦。その勢力図を見ていこう。

 3戦全勝という戦績とともに、その血統なども話題となっているのがウォーターナビレラ(牝2歳/栗東・武幸四郎厩舎)である。

 札幌でのデビュー戦(芝1500m)で逃げ切り勝ちを収めると、10月のサフラン賞(1勝クラス、芝1600m)も快勝。続くファンタジーステークス(GⅢ、阪神・芝1400m)では先行・差し切りの安定したレースぶりで制して、戦績を3戦3勝として大一番を迎えることになった。

 注目されるのは、前走から手綱をとる武豊騎手の連続騎乗により、武幸四郎調教師との「騎手-調教師」の"兄弟コンビ"によるGⅠ制覇がかかっていること。もし達成すればJRA史上初のこととなる。
 
 またもうひとつの注目点は、父シルバーステート(その父ディープインパクト)という血統だ。

 シルバーステート栗東の藤原英昭厩舎に所属し、2013年にデビュー。初戦こそ、のちにヴィクトリアマイル(GⅠ)を制するアドマイヤリードにアタマ差で2着に敗れるが、2戦目の未勝利戦、続く黄菊賞を"ノーステッキ"での楽勝。特に後者では、上がり3ハロンを推定32秒7という破格の末脚を繰り出し、福永祐一騎手をして「ダービーを狙える馬が現れた」と言わしめた。

 しかし、好事魔多し。共同通信杯(GⅢ)を目指す過程で左前肢に、サラブレッドにとって"不治の病"と言われる屈腱炎を発症して長期休養に入る。そして約1年半ぶりに復帰したオーストラリアントロフィー(1000万下)を"持ったまま"の逃げ切りで楽勝すると、続く垂水ステークス(1600万下)もスピードの違いを見せてまたも逃げ切り勝ちを収めた。

 大器の復活は大いなる期待を集めたが、運悪く、ここで右前肢に屈腱炎を発症していることが分かり、関係者による協議の末、現役引退を決定。2018年から種牡馬入りすると、重賞タイトルを持たない馬としては異例の人気となり、初年度から200頭近い交配相手を集めた。その中からさっそく現れたのが、このウォーターナビレラである。