ラグビー

コロナ禍に苛まれ、チーム名も難解…逆風スタートの「リーグワン」は、あのラグビーW杯の熱狂を取り戻せるか?

吉田治良

2022.01.18

個性豊かなタレントが鎬を削るリーグワン。そのレベルは決して低くない。(C)Getty Images

 1月16日に行なわれたジャパンラグビーリーグワン(以下リーグワン)のディビジョン1第2節、東京サンゴリアス(旧サントリー/略称東京SG)対トヨタヴェルブリッツ(旧トヨタ/略称:トヨタV)の優勝候補同士の一戦は、予想外のワンサイドゲームとなった。

 最終スコアは50-8。ホストチーム(ホーム&アウェーではなくホスト&ビジター)の東京SGが、連動性の高い展開ラグビーでトヨタVを圧倒し、開幕2連勝を飾っている。

「完敗です。言い訳はないし、ここから何を学び、どう成長していくか。それだけです」

 2019年、自国開催のラグビーW杯でベスト8に大躍進を遂げた日本代表のナンバー8で、昨年はニュージーランドのハイランダーズでプレーし、1年半ぶりに古巣のトヨタVに戻った"ジャッカル姫野"こと姫野和樹は試合後、淡々とそう話した。

 しかし、この日はFL(フランカー)を務めた姫野以外にも、19年W杯の優勝メンバーである南アフリカ代表のFLピーター=ステフ・デュトイ、オールブラックスのLO(ロック)パトリック・トゥイプロトゥなど強力FW陣を擁するトヨタVが、これほどあっさり敗れたのは、試合勘の不足が少なからず影響していたからだろう。
 
 これまで日本ラグビーの最高峰に位置していたトップリーグ(TL)を再編し、1月に華々しく開幕するはずだったリーグワンだが、コロナ禍に見舞われ、文字通り前途多難の船出となってしまった。対戦相手の静岡ブルーレヴズ(旧ヤマハ/略称:静岡BR)に新型コロナウイルスの陽性者が多数出たため、第1節を戦えなかったトヨタVは、これがおよそ1か月ぶりの実戦。「できるかぎりの準備はしたが、連係不足は否めなかった」と、サイモン・クロンHCも本音を漏らしている。

「先週の開幕戦(対東芝ブレイブルーパス東京戦/60-46で勝利)で出たディフェンスの課題をしっかりクリアできた」

 東京SGの主将で、日本代表のCTB(センター)中村亮土がそう語ったように、準備段階で大きな差があったのは明らかだ。