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マラソン・駅伝

箱根駅伝が示した“超高速化”の波。大学新記録が10校!タイムの概念を覆した「青学基準」とは?

生島淳

2022.01.25

ハイレベルな戦いとなった2022年の箱根駅伝。写真:JMPA

ハイレベルな戦いとなった2022年の箱根駅伝。写真:JMPA

●タイムの概念が変わった2022年大会

 今回の箱根駅伝で青山学院大は10時間43分42秒の大会新記録をマークしたが、記録で注目すべきは青学大だけではなかった。

 シード権争いのレベルが、大きく上がっていたのである。

 今年、10位でシード権を獲得した法政大のタイムが10時間58分46秒。11位の東海大が10時間59分38秒で、上位10校がすべて10時間台なのは、2020年大会以来2年ぶりのことだ。

 今回4位に入った東洋大の酒井俊幸監督が、レース直後にこんな話をしてくれた。

「10年前、柏原(竜二)が4年生だった時に、ウチが10時間51分36秒の大会新記録を出したんです。2位は駒澤さんで11時間00分38秒。当時は、10時間台に突入することが総合優勝の目安でした。それが今回、10時間台の学校が11校。厚底シューズの影響と気象条件に恵まれたとはいえ、ついこの間までとは競争のレベルが変わってしまいました」

 今回のシード権争いは、10年前なら十分に優勝を争えるラインだったのだ。

 ちなみに10年前のシード権獲得ラインは、國學院大の11時間13分42秒だった。

●学校新記録は実に10校

 ハイレベルな戦いを裏付けるように、今回の箱根駅伝では、多くの学校が学校記録を更新していた。

 その数は実に10校にものぼる。

 シード権内の6チームだけでなく(青学大、順天堂大、駒澤大、東洋大、中央大、法大)、11位以下の4校(神奈川大、国士舘大、山梨学院大、専修大)も学校新をマークしていた。

 特に専修大は昨年に続き20位なのは変わらないが、総合記録は11時間28分26秒から、11時間15分09秒にまで伸びている。気象条件が良かったとはいえ、単純計算でひとりあたり1分以上もタイムを縮めた計算になる。

 高速駅伝は優勝校だけではなく、下位層にも及んでいたのだ。
 
●復路の繰り上げ出発はわずか2校

 箱根駅伝では、復路の中継点では先頭が通過してから20分以上が経過すると「繰り上げ出発」が実施される。これは、一般道の交通規制を少なくするための処置でもある。

 青学大がとてつもない記録を出したわけだから、常識で考えれば繰り上げ連発となるはずだったが、8区から9区の戸塚中継所で日本体育大、9区から10区の鶴見中継所で山梨学院大と日本体育大の2校だけが繰り上げとなった。

 一方、初出場の駿河台大は一本のたすきでフィニッシュ出来たわけで、11位以下の学校の総合力も上がっていることを示している。

 11時間ちょうどのタイムで12位に入った神奈川大の大後栄治監督は、昨今の状況をこう語る。

「各大学とも、練習メニューも似通ってきているんだと思います。どの学校の監督さんも、正解を知っているんです。ただ、それがプラン通り実施できるかどうかはまた別の話ですが。各校とも走り込みだけでなく、フィジカルを鍛えた2年生、3年生が主力になってきていることが、レベルの向上につながっている気がします。本当に厳しい戦いになっています」
 
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