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10年も寄り添う名コーチが明かした羽生結弦の原動力。「まったく驚異的」と絶賛する“銀盤のプリンス”の姿勢とは【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.03

北京五輪での金メダル獲得が期待される羽生。そんな日本のエースにコーチも期待を寄せた。(C)Getty Images

 文字通り世界が日本のエースに熱視線を送っている。現地時間2月4日から始まる北京五輪のフィギュアスケート日本代表となった羽生結弦だ。

 右足関節靭帯損傷という大けがを乗り越えて参戦する今大会は、2014年のソチ大会から続く五輪3連覇の偉業が懸かっている。それだけに羽生に対するプレッシャーは相当なものだろう。しかし、「彼ならば」と期待をしてしまうのは、27歳のプリンスが、いくつもの壁を打ち壊してきたからだ。

 そんな羽生について「毎日トレーニングし、努力し続ける姿勢には驚嘆しますよ」と語るのは、2012年からカナダ・トロントのクリケットクラブで指導を続けるブライアン・オーサー氏だ。

 今回の北京五輪に韓国代表団として参加する同氏は、五輪公式サイトのインタビューで日本のエースについて問われた際に、次のように論じた。

「彼は自らの手で自分を追い込んで、五輪連覇王者になった。まったく驚異的だ。彼は何よりもトレーニングが好きで、競争を愛している。そういったことが得意なんです」

 現役時代にサラエボ五輪(84年)、カルガリー五輪(88年)で銀メダルを獲得したオーサー氏が、手塩に掛けた名選手たちは数知れない。平昌五輪の銅メダリストであるハビエル・フェルナンデス(スペイン)や、バンクーバー五輪で金メダリストとなったキム・ヨナ(韓国)らがそうだ。

 ただ、数多の愛弟子たちのなかでも「他よりも勝つことが好きなんだ」という羽生は、オーサー氏にとっても、やはり特別な存在だという。

「彼のモチベーションは勝つこと。本当に勝つことが好きなんだ。あれほど演技が素晴らしかったら、勝つのが嫌な人なんていないでしょう? それから何よりの原動力は、彼がフィギュアスケートに貢献したいと思っていること。それと、彼が『自らが最高なんだ』とファンに見せるのが好きなことだね。ファンへの忠誠心と男子フィギュア界を前進させ続けることが彼のモチベーションになっていると思う」

 来る今大会では、前人未到のクワドアクセル(4回転半ジャンプ)への挑戦意欲を示している羽生。これについてオーサー氏は「他とは少し異なる技術がいる」と説きながらも、「でも、ユヅルならできる」と断言した。

「彼であれば、難しい技術にも対応できるはずだ。私は彼が成功することを心から願っている。きっとこのジャンプは私が生きている間に、誰かが成功させる。それが彼であることを祈りますね」

 羽生は前人未到のジャンプにトライし、五輪3連覇という偉業を達成するのか。興味深く見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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