ラグビー

「ファンは大いに失望している」英国人記者は“罰金勧告”に抵抗するスコットランド協会をどう見ているのか【ラグビーW杯】

スティーブ・マッケンジー

2019.11.12

スコットランド相手に快勝を飾った日本代表。ドッドソンCEOの言葉が彼らの心に火をつけたとも。(C)Getty Images

 もしあなたがパーティーに招待されたなら、ホストに感謝の意を示し、なによりも素晴らしいゲストであろうと振る舞うだろう。スコットランド代表チームとそのファンは、もっとも偉大なラグビーのパーティーに招待された。日本開催のラグビーワールドカップである。

 しかしながら、彼らは素晴らしいゲストとしてパーティーを去ることはできなかった。ひょっとしたら酷い連中だ、悪態をつく輩だと見なされているかもしれない。スコットランド・ラグビー・ユニオン(スコットランド・ラグビー協会)にとってだけでなく、代表チームをサポートするファンにとっても由々しき事態となっている。

 今回のワールドカップ日本大会は、想像を絶するほどの成功を掴んだと思う。世界中のラグビーファンがその運営を褒め称え、日本の人びとのホスピタリティーに感銘を受けた。現地に赴かなくともメディアやテレビ中継を通して、そうしたポジティブな側面は十二分に確認できた。

 スコットランド代表のファンは、誠実さと底抜けの明るさを持ち、それをみずからの誇りとしてきた。今大会でもスタンドで陽気に騒ぐ彼らの姿を見てもらえただろうし、勝ち負けに関係なく、一にも二にも相手をリスペクトする人びとだ。だからこそ、彼らは世界中どこに足を運んでも、歓迎される。そうした良好な評判を得ることが大事だと考え、スタンド内外での振る舞いに注意も払ってきた。

 では現在、スコットランド・ラグビーは世界にどう見られているだろうか。ずっと名声を維持してきたファンは大いに失望している。

 
 事の発端は、スコットランド協会のチーフエグゼクティブであるマーク・ドッドソンのコメントだ。巨大な台風が迫るなかで日本戦中止の可能性が浮上し、強い口調でその動きに反論を展開した。これを(国際統括機関である)ワールドラグビーが重く受け止め、ついに先日、スコットランド協会に罰金7万ポンド(約945万円)の支払いと謝罪文の提出を言い渡したのだ。罰金は台風ハギビス(19号)で被災された方々の支援に役立てられるという。

 協会におけるドッドソンの職務は多岐に渡る。スコットランド・ラグビーが進歩・発展するために先導役とならねばならず、今回の一連のコメントもそうした役割を自覚してのものだったはずだ。今回のワールドラグビーが科したペナルティーをすんなり受け入れられないのは、自身の立場を守るためでもあるだろう。
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これ以上は必要ない。裁判になど持ち込むべきでは…