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格闘技・プロレス

ウクライナ柔道家ビロディドが“悲惨な状況”に「鬱のような状態でした」と告白。世界女王の切実な想いは「自由が欲しい!」

THE DIGEST編集部

2022.04.06

東京五輪では銅メダルを獲得したビロディドが、世界へ向けてメッセージを送っている。(C)Getty Images

東京五輪では銅メダルを獲得したビロディドが、世界へ向けてメッセージを送っている。(C)Getty Images

 2018年の世界選手権を制したウクライナの柔道家ダリア・ビロディドは、ロシア軍の侵攻を受けてスペインへ避難している。ヨーロッパ柔道連盟の独占取材に対応した彼女は、戦争が始まった直後には「鬱のような状態」に陥っていたことを明かした。

 昨夏の東京五輪では48キロ級で銅メダルを獲得した21歳。実力はさることながら、完璧な美貌を兼ね備えるビロディドは、トレーニングの傍らモデル業もこなす充実した日々を送ってきた。ところが彼女の生活が一変。2月24日未明、ロシア軍が軍事攻撃を開始したのだ。

「ほんの数日で現実が大きく変わりました。街を出て、たくさんの戦車を見て、みんなショックを受けた。精神的にとても辛かった」と口にしたビロディドは、初めの10日間はウクライナ西部にあるウジホロドの避難所で食事や衣類の提供を行なっていたことを明かした。「5日目くらいから、もうここにはいられないと思うようになりました。体が動かず、鬱のような状態でした。だけど動く必要があった。それが柔道の精神なので」と振り返る。
 
 その後、母と祖母を連れて3400キロ離れたスペインへ避難した柔道家は、「この国の人々は、私と家族にとって素晴らしい場所です」と感謝したうえで、「これまでの生活圏から離れることは本当に辛いけど、これが大きな教訓になりました。常に計画性をもって行動していたけど、今では一瞬にしてすべてを失う可能性があると知りました」と悲しげに語る。

「今は家族を守りたい。写真では伝わらないけど、すべてが破壊されている。でも、まだ得るものもある」と力強く前を向く彼女は、「これまでの生活、家、すべてを取り戻したい。そして、食料支援や健康支援であれ、苦しんでいる人たちを助けたい。自由が欲しい!」と訴えた。

 今もなお続く戦争。悲劇を目の当たりにした著名アスリートのメッセージが、より多くの人へ届くことを祈るばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

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