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格闘技・プロレス

大物ゴロフキンが勝利を引き寄せた「ターニングポイント」の一発とは? 村田諒太とのビッグファイトを分析する

杉浦大介

2022.04.11

「スーパー王者はその名にふさわしい戦いを見せてくれた。一緒に戦えたことを誇りに思う」

 最終的には快勝したが、リング上でのゴロフキンのそんな言葉は、単なる社交辞令ではなかっただろう。9ラウンド開始早々、右カウンターでチャンスを迎えたあと、ゴロフキンもすぐにはフィニッシュできなかった。最後の一撃を決めるまで、スタミナ消耗の兆候を見せ、村田の反撃を浴びていた。もちろんまだ余力は残っていたとしても、そこまで余裕がある戦いではなかったはずだ。

 ストップの瞬間までサバイブを目論むのではなく、ひたむきに勝利を目指し続けた村田のハートの強さも見事という他にない。こうして両者が見せ場を作った上で、最後に千両役者のゴロフキンが貫禄の強さを見せたのだから、会場を埋め尽くしたファンも満足して家路についたのではないか。

 試合前後まで両選手が非常に礼儀正しく、互いへの尊敬を忘れなかったことまで含めて後味の良いタイトルマッチだった。“日本ボクシング史上最大の一戦”はその巨大な期待感に負けなかった。興行的にも、試合内容的にも、後世にまで語り継がれるイベントになったと言って良かったのだろう。

文●杉浦大介

【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。

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