バレーボール

お茶の間を賑わせたデータバレーが再び!?“新・真鍋ジャパン”の秘策とは?「オールジャパン体制」で再びメダル獲得へ挑む

北野正樹

2022.05.25

2012年のロンドン五輪では銅メダルに導いた名将、真鍋氏。(中央)(C)Getty Images

 2021年に開催された東京五輪で、バレーボール日本女子代表「火の鳥NIPPON」は25年ぶりに予選ラウンド敗退を喫した。2012年ロンドン大会で日本女子を銅メダルに導き、ミドルブロッカー(MB)を1枚にして攻撃力を増やす「MB1」や、ポジションにとらわれずどこからも攻撃が出来る「ハイブリッド6」など、新戦術を編み出し世界と戦ってきた眞鍋政義監督は、2024年パリ大会までの極めて短い期間に、どのような戦略でこの難局に挑むのか。新チームは、6月1日午後8時(現地時間)から米国ルイジアナ州、シュリーブポート・ボージャーシティで開かれる国際大会「ネーションズリーグ(VNL)」に臨む。

「パリ五輪まで2年6カ月。非常に短いスパンだが、パリでメダルを獲得するためには、日本は5つの目標を達成しなければならない」。5月6日に東京都内で開かれた女子代表チームの記者会見で、眞鍋監督はパリ五輪に向け日本の武器となる5つの目標設定を発表した。

 4月10日から「味の素ナショナルトレーニングセンター」で国内合宿を始めて約1カ月。昨年10月22日の監督就任会見や、今年3月31日の代表チーム登録メンバー39人が決定した際の会見では、「強化プランや目標設定は東京五輪を振り返り、現状把握をしてから」と繰り返してきた指揮官が、初めて明かした具体的な目標だった。

 設定された目標は以下の5つだ。
1:サーブで、各大会で日本人選手が個人ランキング10位以内に6人が入る
2:サーブレシーブで、各大会で日本人選手が個人ランキング10位以内に3人が入る
3:ディグ&アシストで、世界一になる
4:失点の少なさで、世界一になる
5:団結力

 2番目までが個人の目標で、3番目以下はチームの目標だ。
 
「まず東京五輪を振り返り、評価する。数値やデータを、時間をかけて取り組む。一番大事なことは現状把握。これを間違えると目標設定が狂う。客観的なところから振り返り、世界と比較して、何がよくて何が悪かったのか。日本のストロングポイントをつかんで、そこから日本のオリジナルを考えたい」と、これまで繰り返してきた眞鍋監督。5つの目標は、その分析から導き出した答えだ。

 1番目にサーブを挙げたことについて眞鍋監督は、「ブレイクで一番初めにスタートするのがサーブ。日本のブロックは低いので、サーブが非常に大事になる。データを見ても、サーブが世界に比べて劣る。戦術的なサーブが必要」と説明した。

 目立たないが、最も深い意味が込められているのは、3つ目の「ディグ&アシスト」の「アシスト」だ。ディグは、サーブレシーブ(レセプション)を除くレシーブのことで、多くはスパイクレシーブのことを指すが、「アシスト」はバレーでは聞き慣れない言葉でもある。

「普通、バレーの用語では、『つなぎ』と言うが、あえてアシストという言葉を使った。サッカーでいうアシスト。アシストしても3本目が決まらなければポイントにならない」と眞鍋監督。

 サッカーでは、いくらよいパスを出しても得点にならなければ、ボールを出した選手に「アシスト」の記録はつかない。具体的に「アシスト」という目標を設定することで、つなぐという意識を明確にさせるとともに、アタッカーにはこれまで以上に責任を持って得点することを求める。
 
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