マラソン・駅伝

日本人離れしたスパート力! 三浦龍司ってどんな人? 3000m障害はじめ次々と記録を塗り替える“最強ランナー”の野望とは?

酒井政人

2022.06.11

淡々とした表情で走り続ける三浦。圧巻のラストスパートには誰もが驚きを隠せない。写真:本永創太

 サラサラヘアをなびかせ、誰よりも速く最後の直線を駆け抜けていく。東京五輪の男子3000m障害で7位入賞を果たした三浦龍司(順大)のラストスパートに何度驚かされただろう。

 持ち味の爆発力は今季さらに進化している。4月9日の金栗記念選抜中長距離1500mは遠藤日向(住友電工)を最後の直線で逆転。日本歴代2位の3分36秒59で突っ走った。5月の関東インカレは5000mに参戦。残り2周を前に飛び出した松永伶(法大)に25mほどのリードを奪われたが、まったく動じなかった。

「確信はなかったですけど、ある程度射程距離に入っていたかなと思いました」と三浦。徐々にペースを上げていき、残り1周で切り替える。松永に急接近すると、バックストレートで悠々と逆転した。三浦は13分42秒35で完勝。残り1周を54秒で駆け上がり、後続に5秒差をつけた。

「大学に来て一番伸びたと思うのは、キレというかスピードの部分です。ギアの段数が増えたというか、どんどんレベルアップできていると思います。レースが動いた瞬間にしっかり反応できる瞬発力は、明らかに高校時代よりついていますね」

 筆者は陸上競技を20年以上取材してきたが、三浦のラストスパートはこれまで見てきた日本人選手のなかで別次元にある。おそらく"日本人歴代最強"のキック力を持っているだろう。
 
 スパート力だけでなく、三浦ほど記録を塗り替えてきた日本人ランナーも知らない。京都・洛南高校時代に3000m障害で高校記録を30年ぶりに更新すると、順大進学後は輝きを増した。ルーキーイヤーは7月に3000m障害で8分19秒37をマーク。自己ベストを一気に20秒も短縮すると、U20日本記録を37年ぶり、日本学生記録を41年ぶりに更新した。

 三浦の凄さはメイン種目以外の走りにもある。10月の箱根駅伝予選会では1年生ながら日本人トップに輝くと、大迫傑が保持していたハーフマラソンのU20日本記録を塗り替えた。11月の全日本大学駅伝は1区で区間賞・区間新の快走を見せている。
 
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「経験を積みたい」と様々なことに挑戦する三浦

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