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格闘技・プロレス

再起を懸けた沖縄で味わう“悔しき敗戦”。山本美憂が繰り広げた攻防戦に見る格闘技の難しさ「正直、勝ったと思った」

THE DIGEST編集部

2022.07.04

お互いに持ち味を出し合う攻防戦を見せた美憂(上)と大島(下)。しかし、決着は双方の想いとは異なるものとなった。(C)RIZIN FF

お互いに持ち味を出し合う攻防戦を見せた美憂(上)と大島(下)。しかし、決着は双方の想いとは異なるものとなった。(C)RIZIN FF

 判定2-1の接戦だった。だからこそ悔しい敗戦だった。

 7月2日、沖縄アリーナで開催された『RIZIN.36』に出場した山本美憂。試合に臨むのは昨年11月の沖縄大会以来だった。そこは弟の故・山本“KID”徳郁が愛した場所であり、自身もかつて住んでいた土地でもあり、勝利には大きな意味があった。

 昨年11月の試合は、終始優位に進めながらも、自らが最も得意とするタックルにカウンターのヒザ蹴りを合わされ、RENAにKO負け。再起に懸ける場としては、やはり沖縄がふさわしかった。

 夫であるカイル・アグォンも出場していた今大会に夫婦での勝利を目指してもいた美憂が、対戦したのは大島沙緒里。柔道出身のグラップラーで関節技を得意とする選手だ。DEEPでミクロ級、DEEP JEWELSでアトム級のベルトを巻いている。RIZINにはスーパーアトム級に階級を上げての参戦。昨年10月以来、2度目の登場で、前回は浅倉カンナに判定勝ちを収めた実力者である。

 1ラウンド、優位に立ったのは大島だった。組み付くと得意のアームロックを狙う。下になっても美憂の攻撃を防ぎつつ、ヒジを繰り出していった。2ラウンドも大島が先手を取る。サウスポーの美憂に対し右の蹴りをテンポよく繰り出していった。スーパーマンパンチを放ち、そこから組みにいく場面も。一発の威力はそこまで感じられないが、手数は印象に残る。よく練られた戦略と言ってよかった。

 だが3ラウンド、美憂が打撃で攻勢に出る。軸になったのは左ストレートだ。グラウンドで上になるとパウンドも。大島は関節技に加え打撃の手数。美憂はテイクダウンと強烈な打撃。お互いにいいところが出た。同時に大島は極めきれず、美憂も倒すまでには至らなかった。
 
 その結果として、ジャッジの判定は割れた。2人が大島の、もう1人は美憂の攻めが上回ったと判断したのだ。

 試合終了のゴングが鳴ると、大島に笑顔でハグした美憂。だが判定が告げられると苦笑するしかなかった。

「正直、勝ったと思ったので。自分に何が足りなかったのか。試合全体を見ると勝った気がするんですけど」

 インタビュースペースではそう語っている。一方、勝った大島も判定に戸惑っていた。美憂とは逆の心境だったようだ。

「勝ったことに納得できていません。正直、負けたと思いました。最後のほうは失速して、守りに入っちゃった部分がありました」

 大島は一本を取って勝つ練習をしてきた。だが闘った感触として、美憂に研究されていると感じたそうだ。

「予想以上に守りも強かったです」と大島。階級を上げ、49kgで試合をするとパワー差もあって「取り切れない」とも振り返っている。
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