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モータースポーツ

【F1】英国で2人のドライバーの命を救った「ヘイロー」の効果に改めて脚光!導入時は反対多数も「再び“救済者”となった」

THE DIGEST編集部

2022.07.05

日本では「草履の鼻緒」と揶揄されることもあったヘイロー。写真のフェルスタッペンも当初は反対していたが、奇しくも自身と接触したハミルトンをヘイローによって守ることにもなった(写真は2016年)。(C) Getty Images

日本では「草履の鼻緒」と揶揄されることもあったヘイロー。写真のフェルスタッペンも当初は反対していたが、奇しくも自身と接触したハミルトンをヘイローによって守ることにもなった(写真は2016年)。(C) Getty Images

 7月3日、イギリスのシルバーストーン・サーキットでは、2度の壮絶なクラッシュが見る者を凍り付かせた。

 最初は、F2第7戦でのフィーチャーレース1周目。セクター3でロイ・ニッサニー(DAMS)とのバトルから行き場をなくしたデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)がコースアウトして直進、ソーセージ縁石に乗り上げて宙に浮いた状態で進むと、ちょうど左コーナーを過ぎたニッサニーの頭上に落下した。
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 2度目はF1第10戦のスタート直後。ピエール・ガスリー(アルファタウリ)と接触してコントロールを失ったジョージ・ラッセル(メルセデス)に右リアタイヤをヒットされたジョウ・グァンユのアルファロメオが横転したままアスファルト上を滑り、さらにグラベルを突き進んで回転しながら宙を舞い、タイヤバリアを飛び越えてフェンスとの隙間に挟まる形で止まった。

 いずれも、最悪の事態となる可能性もある重大なアクシデントだったが、前者ではニッサニーは無傷で自らコクピットを降り、後者ではジョウがマーシャルによって車から助け出され、サーキット内のメディカルセンターに運ばれたものの、間もなくチームがSNSで「意識もあり、身体も動かせている」と発表。ジョウはレース後に元気な姿を見せ、自身のSNSで「僕は大丈夫。どこも異常はない。今日は『Halo』に救われた。みんな温かいメッセージをありがとう!」とのメッセージを投稿した。

 ジョウのアクシデントでは、自ら原因を作ったことで車を降りるとすぐに彼の元へと駆け付けたラッセルが「今まで見た中で最も恐ろしいクラッシュのひとつ」、またガスリーは「ジョウの事故は非常に恐ろしく、彼が逆さで滑っていくのを見るのは衝撃的だった」と、それぞれ振り返っている。

 この2つの恐ろしい事故から2人のドライバーを救ったのが、ジョウのSNSでも言及された「Halo」(以下、ヘイロー)で、海外の多くのメディアも改めてこのデバイスにスポットライトを当てている。ドライバーの頭部を保護するため、フォーミュラーカーのコクピット周辺に取り付けられている環状の防護装置であり、その素材は航空宇宙産業でも用いられる最高グレードのチタニウムで、その強度は「2階建てのロンドンバスを載せても耐えられる」と表現されるほどのものである。

 頭部の保護はモータースポーツ、特に身体が剥き出しとなるフォーミュラーカーの古く、からの課題であり、以前はロールバーだけがその役割を担っていたが、パーツなどが飛んでドライバーのヘルメット(頭部)に当たるアクシデントには対応できず(マーシャルの消火器が直撃したトム・プライス、クラッシュの際に飛んだタイヤやサスペンションの直撃を受けたアイルトン・セナらの死亡例も)、2009年に立て続けに重大な事故が起こったことでついに運営側が動き始め、幾つかの形態の中から現在の「ヘイロー」が生まれた。
 
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