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腰痛、左手首痛…怪我に苦しむ稲見萌寧。ハンデを負うも年間女王ランク3位につける強さの秘密を探る

山西英希

2022.09.02

今季2勝目を挙げた稲見。メルセデスランキングは3位につけている。(C)Getty Images

 稲見萌寧にとってプロ入り後100試合目のトーナメント出場となった今年の『ニトリレディス』。開催コースがツアーでもトップクラスの難易度を誇る小樽カントリー俱楽部だっただけに、今年も激戦が繰り広げられたが、見事逆転勝利を収め、大会2連覇を飾った。

 今季は昨年からの腰痛や左手首痛に悩まされたことで、『ニトリレディス』が約3か月ぶりに挙げた2勝目だったが、気がつけばメルセデスランキングも3位に上がり、首位の山下美夢有、2位の西郷真央との差もわずかに迫っている。昨シーズンと比べれば、決して万全な状態ではないにもかかわらず、なぜ安定した成績を残せているのだろうか。

 稲見の武器はなんといってもその高いショット力にある。パーオン率に関しては19年から2シーズン連続で1位となり、今季も現在1位の指定席に座り続けている。しかも75・4986%と高い数字だけに驚きだ。

 ただ、今回はボールストライキングに注目したい。これはトータルドライビングの順位とパーオン率の順位を合算したものを順位づけたもので、トータルドライビングとは、ドライビングディスタンスの順位とフェアウエイキープ率の順位を合算したものになる。つまり、ボールストライキングで上位に来る選手はドライバーを握れば飛んで曲がらず、アイアンショットは正確にグリーンを捉えていることの証明でもあるのだ。まさにショット力を見るバロメーターであり、稲見は昨シーズンに初めて1位となったが、今季もここまで1位をキープしている。
 
 平均パット数(1ラウンドあたり)が昨シーズンの19位から今季は39位にまで落としているのに、平均ストロークでは昨シーズンに続き、今季も1位をキープしているのは、ショット力が衰えていないからだろう。ただ、稲見本人によれば、現在は決してベストな状態ではないという。「私のMAXが80くらいだとしたら、現在は60くらいですね」と分析するのだ。

 腰痛や左手首痛もあり、今季は昨年までのような何時間も練習に没頭するスケジュールを組んではおらず、ある意味だましながらやっている部分もある。今季は追い上げるものの、あと一歩届かなかった試合も少なくないが、MAXの状態まで調子を上げることができなかったことがその要因の一つなのかもしれない。
 
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トップテン15試合の稲見。1位に躍り出る可能性も…