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【データ考察】賞金女王・稲見萌寧はなぜ昨年のような“ロケットスタート”が切れなかったのか?序盤戦出遅れの要因を徹底分析!

山西英希

2022.03.30

昨シーズン驚異的な活躍を見せた稲見が出遅れている要因とは?(C)Getty Images

昨シーズン驚異的な活躍を見せた稲見が出遅れている要因とは?(C)Getty Images

 20-21シーズンに9勝を挙げて賞金女王に輝いた稲見萌寧が、今季は4試合を終えた時点で10位タイが最高と出遅れている。昨年が序盤の4試合で優勝1回、トップテン入りが2回あっただけに、余計に目立つのかもしれないが、なぜ昨年のようなロケットスタートを切れなかったのか考察してみよう。

 この4試合の記録を見ると、1試合棄権しているためメルセデスランキング(84・4ポイント=22位)と賞金ランキング(353万3500円=29位)は当然低い。ただ、予選通過が影響しない平均ストローク(70・67=7位)とパーオン率(75・31%=3位)は上位にいる。特にパーオン率は今季2勝を挙げ、メルセデスランキングで断トツ首位の西郷真央よりも数字は上だ。

 結局、成績が今一つ伸びないのは、パッティングに原因がある。昨シーズンはパーオンホールでの平均パット数が1・767で2位だったが、今季は1・803で29位、1ラウンドあたりの平均パット数も29・51(19位)から30・33(68位)と落としている。その結果、1位だったパーセーブ率は8位に、同じく1位だったパーブレーク率は30位に落ちている。

 元々パッティングが得意ではなかった稲見だけに、それほど本人は今の数字は気にしていないだろう。そのうち入るぐらいに思っているのではないか。というのも、稲見自身、昨年のようなロケットスタートを切れないことはある程度覚悟していたと推測できるからだ。
 
 その要因となっているのが、昨年10月に発症した腰痛だ。『マスターズGCレディス』最終日の朝、痛みで動けない状態だったというほど重症だったが、わずか1試合休んだだけで、2位、優勝という結果を出しただけに、すさまじい治癒力だと思われた。しかし、完治したわけではなかったのだ。

「オフのトレーニングで体を大きくしようと思っていたんですけど、重いものを持つことに対してドクターストップがかかっていたので、自重を利用してのトレーニングになりました」と開幕時に語っていたが、痛みこそないものの状態は良化していないため、無理はできなかった。さらに、オフは賞金女王を獲得したり、新しいスポンサーがついたりしたため、あいさつ回りに時間をとられがちだった。その結果、トレーニングだけでなく、打ち込みもできなかったのだ。
 
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