専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【エリザベス女王杯】”苦心”を覚悟した斉藤調教師。超良血娘ジェラルディーナの才能を信じ『三位一体』で掴んだGⅠ初制覇

三好達彦

2022.11.15

大外から差し切ってエリザベス女王杯を制した18番ジェラルディーナ。超良血馬が悲願のGⅠ初制覇を飾った。写真:産経新聞社

大外から差し切ってエリザベス女王杯を制した18番ジェラルディーナ。超良血馬が悲願のGⅠ初制覇を飾った。写真:産経新聞社

 11月13日、秋の牝馬中長距離戦線のトップを決めるエリザベス女王杯(GⅠ、阪神・芝2200m)が行なわれ、単勝4番人気のジェラルディーナ(牝4歳/栗東・斉藤崇史厩舎)が大外から差し切って優勝。2着は5番人気のウインマリリン(牝5歳/美浦・手塚貴久厩舎)と、12番人気のライラック(牝3歳/美浦・相沢郁厩舎)が同着となった。

 1番人気の三冠牝馬デアリングタクト(牝5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)は6着に敗退。また、今年の秋華賞(GⅠ、阪神・芝2000m)で1、2着を占めた高野友和厩舎(栗東)の2騎、2番人気のスタニングローズ(牝3歳)は14着。3番人気のナミュール(牝3歳)は5着に沈んだ。

 予報より長い時間、朝から降り続いた雨がレースの結果を大きく左右した。第3レース(2歳・未勝利、芝1400m)では「良」だった馬場状態が、第4レース(2歳・未勝利、芝1600m)には「稍重」になり、さらに第8レース(3歳上2勝クラス・芝2200m)からは「重」と発表された。

 その結果、馬場の内外でかなりのトラックバイアスが生じることになる。具体的に言うと、それまでは芝が傷んでいたものの、なかなか”止まらなかった”インコース。特に、内ラチから3~4頭分までのコンディションが一気に悪化し、逆に芝が生え揃った外目を通る馬が伸びる、いわゆる「外差し有利」の馬場に変化したのである。
 
 ゲートが開くと、内の2番枠から飛び出したローザノワール(牝6歳/栗東・西園正都厩舎)が先頭を奪い、アイルランドから参戦した外国馬マジカルラグーン(牝3歳/J・ハリントン厩舎)が2番手に付ける。その後ろからウインキートス(牝5歳/美浦・宗像義忠厩舎)とウインマイティー(牝5歳/栗東・五十嵐忠男厩舎)が追走。ウインマリリンやスタニングローズは先団の好位置をキープし、デアリングタクトとナミュールは中団の前目、ジェラルディーナはゲートを”出たなり”で後方の外目を進んだ。

 1000mの通過が1分00秒3という速めのラップを刻みながらレースは進んだが、第3コーナー付近からタフな馬場にスタミナを奪われたマジカルラグーンやウインキートス、ウインマイティーらの鞍上の手が動き始め、後方待機の面々も前との差を詰めながら馬群は直線へと向かった。

 逃げ粘るローザノワールを馬群の中から伸びてきたウインマリリンが交わしにかかる。しかし、その外からマクって豪快な末脚で強襲したのがジェラルディーナ。ウインマリリンを捉え切ると、最後の外目から伸びたライラックをものともせず、1馬身3/4差を付けて快勝。GⅠ初制覇を成し遂げた。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号