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ゴルフ

違反による出場停止処分から変化を遂げた石川遼。2年340日ぶり“復活V”の背景には何があったのか――

山西英希

2022.11.17

約3年ぶりに18勝目を挙げた石川。本人は、信じられない様子を見せていた。(C)Getty Images(※写真は2021年6月のもの)

約3年ぶりに18勝目を挙げた石川。本人は、信じられない様子を見せていた。(C)Getty Images(※写真は2021年6月のもの)

 国内男子ツアーの『三井住友VISA太平洋マスターズ』で2年340日ぶりにツアー優勝を飾った石川遼。これでツアー18勝目となり、歴代勝利数ランキングでは12位タイに順位を上げたが、石川自身にとって今回の優勝はこれまでとはひと味違ったものとなったのではないか。

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 米ツアーで結果を残せず、18年から再び国内ツアーを主戦場にした石川。それでもPGAツアーで戦う気持ちは捨て切れず、昨年はPGAツアーの下部ツアーであるコーンフェリーツアーの予選会にエントリーした。残念ながら最終ステージには進めず、傷心の帰国となったが、その後新型コロナからの隔離期間中にもかかわらず、一般客も来場するゴルフ場で練習やラウンドを行う違反行動が発覚。1カ月間の出場停止処分を受けるなどして、更なるショックを受けた。

 ただ、今にして思えば今季の国内開幕戦となる『東建ホームメイトカップ』までの約5か月間、実戦から離れたことはプラスに働いたように思える。と言うのも、20年から取り組んでいるスイング改造にじっくりと向き合えたからだ。試合に参戦しながらの改造だとどうしても結果を意識せざるを得ないため、イメージどおりにスイングできない場合が多い。コーンフェリーツアーの予選会で失敗したのもそういったジレンマに耐え切れず、中途半端な状態でラウンドしてしまったことが理由の一つとして考えられる。

 また、自分のゴルフを真剣に見つめ直す意味でもいい冷却期間だったと言える。実際、今年の『東建ホームメイト』の大会前には、「地に足を着けて淡々と丁寧に、1打1打に向き合っていくことしか考えていません」と語っていたが、その表情は予想以上に明るく、いいオフを過ごしてきたことが伝わってきた。
 
 石川がスイング改造と平行して行なっているのが、肉体改造でもある。昨年は体が大きくなった割には筋力が今一つだと嘆いていたが、今年はケガに強く、瞬発力のある体づくりを目標にシーズン中でも週5のペースでトレーニングに励み、その問題を解消しようとしてきた。

 ある意味、心技体、そしてコースマネジメントなどゴルフに対する考え方を含め、土台づくりの段階として臨んだ今シーズンであり、石川自身も優勝することはほぼ考えていなかった。ただ、9月の『ANAオープン』でプレーオフに破れて優勝を逃したとはいえ、4日間を終えた時点のストロークではトップに立ったことで微妙な変化があったようだ。
 
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