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ゴルフ

違反による出場停止処分から変化を遂げた石川遼。2年340日ぶり“復活V”の背景には何があったのか――

山西英希

2022.11.17

「4日間を通して全体的に悪くない感じでやれていたし、よくなっている所もあったので、シーズン終盤に向けて弾みがついたし、楽しみになりました」と大会後に振り返っていたが、頑張ってきた成果が出たなという思いも強かったという。自分が進んでいる方向が間違っていないことを初めて確認できた大会だったのだ。

 もちろん、石川自身、それほど簡単に勝てるほど甘い世界ではないと理解している。あくまでも自分が取り組んでいるスイング改造、体力づくり、コースマネジメントなどを基本ラインから外れないようにキープすることで結果が出ればいい程度にしか考えていなかった。それが、今回の『三井住友VISA太平洋マスターズ』で思わぬチャンスを迎えたのだ。

 最終日最終組での戦いとなり、同組の相手はアマチュアながら今季は日本オープンを含む2勝を挙げて、プロ転向2戦目を迎えた蝉川泰果と2週前に優勝したばかりの星野陸也だった。相手に不足はなかったが、どちらも飛んで曲がらないドライバーショットを武器とするだけに、石川が彼らの影響を受けずに自分のゴルフに徹し切れるか注目された。

 結果は、ドライバーをむやみに振り回すことなく、刻むところは刻むなど、終始自分のプレースタイルを貫き通した石川に軍配が上がった。ガツガツしなくても優勝争いに絡み、最終的に勝ち切れたことに石川のレベルが確実に上がっていることを感じさせた一戦だった。
 
 さらに自信を深めるためにも今週からの残り3試合でどのようなゴルフをするか要注目だが、最終的にPGAツアーに目標を定めている以上、今回の優勝はあくまでも通過点であり、石川が本当の笑顔を見せるのはもっと先になるだろう。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、07年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
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