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格闘技・プロレス

地上波なしでどこまでアピールできるか。驚くほどの“正攻法”で挑む「ベラトール」との威信をかけた対抗戦が持つ可能性【RIZIN】

橋本宗洋

2022.12.29

ベラトールとの団体戦に強い意気込みを口にした榊原CEO。地上波放送がないなかで、どれだけの熱狂を提供できるかは実に興味深い。写真:Motoo Naka/アフロ

ベラトールとの団体戦に強い意気込みを口にした榊原CEO。地上波放送がないなかで、どれだけの熱狂を提供できるかは実に興味深い。写真:Motoo Naka/アフロ

 今年も“大晦日格闘技”がやってくる。RIZINさいたまスーパーアリーナ大会だ。

 ただ、今年は従来のRIZIN大晦日と違う。地上波での中継がないのである。かつては総合格闘技の魅力をお茶の間に提供したPRIDEもフジテレビでの放送が打ち切られているが、今は以前ほど地上波の影響力が大きくないところは興味深い。
【動画】ベラトール公式が厳選したAJマッキーの圧巻KO集をチェック

 もちろんあるに越したことはない。だが、那須川天心vs武尊が実現した6月の『THE MATCH』、そして元ボクシング世界5階級王者のフロイド・メイウェザーJr.が参戦した9月の『超RIZIN』は、いずれもネット配信中心のPPVで大成功を収めた。そうした背景もあって今年は大晦日も同様の配信・放送形式となった。

 地上波なしでどこまでアピールできるか――。今回は特に問われるものが大きい。なぜなら対戦カードが驚くほどの“正攻法”だからである。とりわけ熱心な格闘技ファンを喜ばせたのは、RIZINとベラトールの対抗戦だ。

 ベラトールはアメリカMMA界のメジャー団体。人気や知名度はUFCに次ぐ存在と言っていい。無論、イベントの規模が大きければ有力選手も集まりやすく、今回の『RIZIN.40』に登場する選手たちもMMA界のトップファイターかつスター軍団だ。彼らが日本で試合をするという事実が一つの“ニュース”であり、なおかつ彼らが団体の威信をかけた対抗戦を行なうのだからファンにはたまらない。
 
 対戦カードは、以下の5試合に決まった。

ホベルト・サトシ・ソウザvsAJ・マッキー
クレベル・コイケvsパトリシオ・ピットブル
扇久保博正vs堀口恭司
キム・スーチョルvsフアン・アーチュレッタ
武田光司vsガジ・ラバダノフ

 RIZINはサトシ(RIZINライト級世界王者)とクレベル(RIZINフェザー級王者)の2大王者が揃って参戦。一方で前者と対峙するマッキーは前フェザー級王者であり、パトリシオはフェザー級チャンピオン対決だ。今回ベラトール側に回る堀口は、扇久保と3度目の対戦だ。常に“打倒・堀口”を目標に掲げ、バンタム級ジャパンGPを制した扇久保の執念がここで結実するのか。対抗戦の中にはそんなドラマもある。

 この対抗戦は、本当に強い者同士の潰し合いだ。見方はシンプルで、だからこそ『どっちが勝つんだ』という格闘技の根源的な興味をそそられる。ハイレベルかつ正攻法なマッチメイクだからこそ、ファンは喜んだ。

 ただ正攻法なマッチメイクだけに、不安を感じるという声もあるようだ。大晦日の格闘技イベントといえば、いわば“世間一般”にアピールする大会でもある。2003年の『Dynamite!!』ではボブ・サップvs曙が高視聴率を記録し、年の瀬の列島を大いに沸かせた。今年は地上波中継がないとはいえ、やはり一般層の興味を引く『飛び道具的なカード』も必要ではないかというわけだ。
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