「スパシーバ(ロシア語でありがとうの意)? それはこちらからも言わせてもらいたい。本当に俺は東京、そして日本のファンに感謝がしたい」
司会から健闘を称える意味も込めて「スパシーバ」と声をかけられた29歳の猛者ラジ・ラバダノフ(ロシア)は、熱く訴えた。
12月31日に行なわれた『RIZIN.40』は、2万5000人の観客が詰めかける大盛況のうちに幕を閉じた。とりわけRIZINと米総合格闘技団体『Bellator』による"日米対抗戦"と銘打たれた大会のメインカードを大いに盛り上げたのが、先鋒を務めたラバダノフだった。
繰り出すパンチの重みとタフさは圧巻だった。日頃は"母国"ダゲスタン共和国が位置するロシアやアメリカを拠点に活動しているラバダノフは、対峙した武田光司(BRAVE)を序盤から圧倒。1回には渾身の右ストレートを被弾させ、27歳の日本人戦士を後方に文字通り吹っ飛ばすような一撃を見舞った。
疲労の色が見え始めた終盤にこそ、組み技に秀でた武田の驚異的な粘りに苦戦。それでも数多の死地をくぐり抜けてきた男は、危なげない試合運びでフルマークでの判定勝ちを収めてみせた。
武田をして「すげぇ強かった」と言わしめたラバダノフは、自らが「兄のような存在」と慕う元UFCライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)の下で研鑽を積んでおり、経験や実力は相手よりも上と言わざるを得ない。ゆえに筆者は上から目線でモノを言うのだろうと勝手に思っていた。
だが、試合後に彼の口からこぼれたのは、日本へのリスペクトだった。
「俺は必ずやこの日本に戻りたいと思っている。なぜなら日本のファンに感謝がしたいからだ。それぐらいに俺たちを彼らは応援してくれた。俺のプロキャリアの中で2万5000人の観客を前に試合をするのは初めての経験だったんだけど、とてもエキサイティングな試合だった。また、同じぐらいの試合がしたい。そう強く思う」
「タケダは本当に強い選手だった。俺は戦う前から彼には尊敬の念を持っていた。その気持ちは試合が終わってからも変わらなかった。だから彼には『本当に良い試合をありがとう』と伝えた」
2022年はウクライナ侵攻によって、スポーツ界全体ではロシア人選手たちが批判を受ける場面が目立ち、苦しい立場に追いやれた。そうしたなかで、日本で受けた手厚い"ホスピタリティ"にラバダノフは感激したのだろう。彼が試合後の会見で放った「アリガトウ」という言葉は、単なるリップサービスには想えないものがあった。
取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)
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12月31日に行なわれた『RIZIN.40』は、2万5000人の観客が詰めかける大盛況のうちに幕を閉じた。とりわけRIZINと米総合格闘技団体『Bellator』による"日米対抗戦"と銘打たれた大会のメインカードを大いに盛り上げたのが、先鋒を務めたラバダノフだった。
繰り出すパンチの重みとタフさは圧巻だった。日頃は"母国"ダゲスタン共和国が位置するロシアやアメリカを拠点に活動しているラバダノフは、対峙した武田光司(BRAVE)を序盤から圧倒。1回には渾身の右ストレートを被弾させ、27歳の日本人戦士を後方に文字通り吹っ飛ばすような一撃を見舞った。
疲労の色が見え始めた終盤にこそ、組み技に秀でた武田の驚異的な粘りに苦戦。それでも数多の死地をくぐり抜けてきた男は、危なげない試合運びでフルマークでの判定勝ちを収めてみせた。
武田をして「すげぇ強かった」と言わしめたラバダノフは、自らが「兄のような存在」と慕う元UFCライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)の下で研鑽を積んでおり、経験や実力は相手よりも上と言わざるを得ない。ゆえに筆者は上から目線でモノを言うのだろうと勝手に思っていた。
だが、試合後に彼の口からこぼれたのは、日本へのリスペクトだった。
「俺は必ずやこの日本に戻りたいと思っている。なぜなら日本のファンに感謝がしたいからだ。それぐらいに俺たちを彼らは応援してくれた。俺のプロキャリアの中で2万5000人の観客を前に試合をするのは初めての経験だったんだけど、とてもエキサイティングな試合だった。また、同じぐらいの試合がしたい。そう強く思う」
「タケダは本当に強い選手だった。俺は戦う前から彼には尊敬の念を持っていた。その気持ちは試合が終わってからも変わらなかった。だから彼には『本当に良い試合をありがとう』と伝えた」
2022年はウクライナ侵攻によって、スポーツ界全体ではロシア人選手たちが批判を受ける場面が目立ち、苦しい立場に追いやれた。そうしたなかで、日本で受けた手厚い"ホスピタリティ"にラバダノフは感激したのだろう。彼が試合後の会見で放った「アリガトウ」という言葉は、単なるリップサービスには想えないものがあった。
取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)
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