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バレーボール

「嬉しい、だけじゃない」石川祐希が大番狂わせの後に語った胸の内。サービスエースの鬼気迫る雄叫びには照れ笑い

佳子S.バディアーリ

2023.04.12

準決勝進出に大きく貢献した石川。現地メディアも絶賛している。写真:佳子S.バディアーリ

準決勝進出に大きく貢献した石川。現地メディアも絶賛している。写真:佳子S.バディアーリ

 バレーボール男子日本代表の主将・石川祐希が、主戦場とする世界最高峰のリーグで新たなページを刻んでいる。

 今シーズンの王者を決めるプレーオフ真っ只中のイタリアリーグ・セリエA。石川が所属3年目を送るパワーバレー・ミラノは、ペルージャとの準々決勝を3勝2敗で勝ち越し、準決勝への切符を手にした。レギュラーシーズン8位のミラノが、全勝だった首位ペルージャを追い落とした大番狂わせを、現地メディアはこぞって報じた。激闘を演じた選手たちのなかで、誰よりも輝きを放ち、その存在を新たに知らしめたのが、背番号14だ。

【動画】石川祐希がゲーム2位の18得点! MVPの活躍

 第5戦目はセットカウント3-1(18-25、25-21、29-27、25-23)で勝利。1セットダウンから逆転で準決勝進出を決めた。試合を終えたばかりの石川は、「まず負けたら終わり、勝ったらセミファイナルというこの5戦目で勝つことができ嬉しい。僕たちは自分たちを信じ、相手チームに気を取られずにずっと自分たちのことを考えてプレーしている。それがこの結果をもたらしたのだと思う」と口を開いた。

 力負けして落とした第1セットは、「会場の雰囲気と相手のサーブにやられてしまった」と石川。その通り、強烈なペルージャの応援はいつにも増して力が入っていた。ブブゼラ、太鼓やメガフォンなどで耳が痛くなるほどの大音量を発し、相手チームを威嚇する敵地の熱狂的なサポーターたちがエンドライン一面に陣取る。ミラノのサーブではそのボリュームが一層アップした。選手たちがコミュニケーションに苦慮する様子は、コートの外から見ていても容易に分かった。

 嫌な形で1セット目を譲った後のチームの雰囲気は、「正直あまりよくなかった。2セット目の序盤はコートの中でちょっともたついているのを感じていた」という。

 ミラノはその後、最多3点のビハインドから逆転に成功する。「(U-22イタリア代表セッター/パオロ・)ポッロ選手のエースから流れが変わり、僕もいいところでエースを決めることができた」と振り返った石川は、ペルージャのサーブが好調でなかったことも助けになったとしながら、「本当にチーム全員が役割を果たした結果だと思う」と続けた。

 その2セット目終盤、19-19に詰め寄られたシーン。第3戦でリードを覆されセットを落とし、そこからリズムを失った場面が一瞬、頭をよぎった。けれど、そんな心配は無用だった。ブロックアウトでリードを奪い返した石川は、続くサーブでエースを叩き込み勝機を引き寄せた直後、エンド席にいたミラノの会長らフロント陣に向かって右手こぶしを振り下ろしながら雄叫びをあげた。横並びの記者席まで届いたその鬼気迫る声に思わず鳥肌が立った。印象的だったと伝えると、「叫んでましたね」と照れ笑いを浮かべた。
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