バレーボール

「サーブで崩せない選手は外す」眞鍋監督が徹底強化を図る日本の生命線。なぜ世界を越えるための最重要課題なのか?【女子バレーVNL】

北野正樹

2023.06.05

サーブ強化に余念がない女子バレー日本代表。写真は荒木。写真:北野正樹

 バレーボール日本代表女子「火の鳥NIPPON」が、5月30日から6月4日まで名古屋市の日本ガイシホールで開かれたネーションズリーグ(VNL)2023予選ラウンド第1週で3勝1敗と、2024年パリ五輪に向け好スタートを切った。
 
「今日の敗因は、サーブでしたね」

 予選ラウンド第1週最終日の4日、中国に0-3で敗れた日本代表の眞鍋政義監督が、静かな口調で試合を振り返った。

 ストレート負けとはいえ、世界ランキングで日本(5月2日現在、6位)より格上の中国(同5位)に対し、18-25の第1セットを除くと、25-27、25-27の大接戦。

 それでも眞鍋監督は「サーブで結構、崩しているように見えるのですが、(中国の)Aパス率は非常に高いのではないでしょうか。Aパスに入れられると70%以上で決められてしまう」と、日本のサーブが機能していなかった点を、Aパスと呼ばれるレシーブが崩れずセッターが動かずにトスを上げることが出来る数字を挙げて指摘した。

 代表監督に復帰して2年目の眞鍋監督。1年目にVNLで7位、世界選手権では5位と、世界ランキングを9位から6位にまで引き上げ、今年掲げたスローガンは「OVER TAKE(世界を越えよう)」。昨年の「Breakthrough(世界への突破口を見出そう)」からの上方修正は、五輪でのメダル獲得を見据えたもの。

 2024年パリ五輪に向け、世界を越えるために最重要課題としたのがサーブだ。

 今年5月8日に開かれた女子代表の記者会見で、眞鍋監督が今年の目標として掲げたのは、9月の五輪予選での出場権獲得とVNLでのベスト4。

「世界選手権では、日本の指標の中でアタック効果率が30%を超え、サーブレシーブ返球率も2位チームを大きく引き離した」と選手をたたえたが、「パリ五輪でメダルを獲得する水準には全く届いていない」と酷評したのがサーブだった。

「サーブミスこそ少なかったが、Aパスをされてしまう率が、世界の強豪国に比べて非常に高かった」と眞鍋監督。さらには「選手にも言ってあるが、サーブで崩せない選手は、最後は外す。それだけ、我々の武器はサーブ」と言い切った。

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中国戦は「世界を越える」ための試金石だった