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フィギュア

【GPファイナルの舞台裏】予定外だった4回転5本――羽生結弦の戦う姿勢がネイサン・チェンの心に火をつけた

THE DIGEST編集部

2019.12.13

GPファイナルでは一騎打ちとなったチェン(左)。と羽生(右)。(C) Getty Images

GPファイナルでは一騎打ちとなったチェン(左)。と羽生(右)。(C) Getty Images

 12月6から8日までイタリア・トリノのパラベラで開催されたフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル。男子シングルで3年連続の王者となったのは、米国の20歳、ネイサン・チェンだ。

 現在、名門イェール大学に通いながら競技を続けているチェンは、優勝した翌日に3年ぶり5度目の優勝を目指していた羽生結弦との激闘について語った。米スポーツ大手局『NBC Sports』が報じている。

 GPファイナルでチェンが残した総合335・30点は、現時点での世界最高記録であり、224・94点で終えたフリーでは、9人の審査員がつけたGOE(出来栄え点、0をベースとし-5から+5の11段階で評価)108項目のうち、19項目で+5ポイント、45項目で+4ポイントの評価を受けた。また、ショートプログラム(SP)で残した110・53点は、羽生の持つ記録(110・53点)にわずか0・15点に迫る、チェン自身のベストスコアだった。

 快挙を成し遂げたチェンは、同局のインタビューに対して、「興奮している」とコメントした。

「こんな優勝を実現できるとは思わなかったので、興奮している。けれど、この状態を維持することは簡単ではなく、自分でも注意深く推移を見ていく必要がある。シーズンが進むにつれて、様々なことが変化しているし、カリフォルニアに戻ったら、これからのふたつの大会に向けて、プランを練るつもり。けれど、今はとにかく幸せに思う」
 
 だが、この大会のフリープログラムで、4回転ジャンプを5本組み込むことは、チェンと、ラファエル・アルトゥニアンコーチにとっては予想外の展開だったようだ。

 実際にフリープログラムに4回転を5本組み込むことを決めたのは、「練習で羽生が4回転ルッツを着氷させ、4回転アクセルを試みた」からだという。

「コーチの許可はその時は下りていなかったけれど、僕自身はずっと入れるつもりでやっていた。そして、ユヅが飛んでいるのを見て、僕も試してみるべき時だと気づいたんだ」

 チェンがフリーで4本以上の4回転ジャンプを組み込むのは2018年の世界選手権以来。ラファエルコーチは4回転サルコーを安定させるまでは、と止めていたようだが、やはり羽生が飛ぶ姿に、許可を与えたのだという。
 
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