ラグビー

ラグビーW杯まで2か月…NZ代表予備軍と対峙した日本代表の“スクラム、防御、攻撃”の完成度は?

向風見也

2023.07.17

自身3度目のW杯に挑むリーチ マイケル。チームを引っ張る精神的支柱だ。(C) Getty Images

 結果が全て。いつもそう訴える稲垣啓太が、チームの進歩について聞かれる。答えはこうだ。

「いい方向には向かっていると思います。結果が出ていないので何とも言えないですし、ファンの皆さんにも申し訳ないですし、僕自身もすごく悔しいですけど」
 
 ワールドカップ フランス大会まで約2か月。4年前の日本大会で初めて8強入りしたラグビー日本代表は、6月中旬にキャンプを開始。7月より国内で強化試合を行なっている。

 8日からの2週間は、ニュージーランド代表の予備軍にあたるオールブラックス・フィフティーンに2連敗した。

 特に15日の熊本・えがお健康スタジアムでの2試合目は、稲垣ら初戦に出なかった経験者を並べながら27―41で屈した。

 ただし、いまのチームはワールドカップに向けて常連組に国際舞台での試合勘を取り戻させたり、新戦力を見極めたりしながら、目指すプレースタイルの遂行力を高めている最中だ。結果よりも、各種プレーの内容が注視される。

 手応えがあったのはスクラムだろう。

 互いが組み合う前の姿勢は相手より低い位置で、かつ背中が地面とほぼ平行だった。右プロップの具智元が後ろからの押し、左側からの支えを得て、よく前に出た。

 3―12から6―12と点差を詰めるまでの前半13分から21分までにあった4本は、すべて安定。後半22分には、相手ボールの1本を押し返して、向こうにペナルティをさせた。

 参加するフォワードの先発選手の総重量で27キロも上回るオールブラックス・フィフティーンの塊を、長谷川慎アシスタントコーチの教える型で攻略した。

 ハーフタイム間際に自分たちから崩れて笛を吹かれたような場面もあったが、「いけるという感覚があっただけに…介入させてしまった」と稲垣。対面、レフリーとの駆け引きに、細かい修正箇所を見つけた。「自分たちがどうするかにフォーカス」してきたからこそ、辿り着いた領域だ。

 明確な方針に沿って動くのは、防御でも然りだ。

 担当のジョン・ミッチェルアシスタントコーチが唱えるのは「ダブルコリジョン」。前に出て、2人がかりのタックルで走者を潰す。早めに攻守逆転を目指す。

 6月にはジョン・ドネヒューを客員コーチに招き、約1時間ぶっ通しの過酷なタックルセッションも実施した。ミッチェルが唱えるシステム、ドネヒューが刷り込んだ技術、闘志の合わせ技を、この日の戦士たちは披露した。
 
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「日本代表にミスがなければ、もっと接戦になっていた」