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ラグビー日本代表、司令塔は誰に? サモアに敗れるもSO陣が語ったプランと収穫「最後、勝てたんじゃないかと」

向風見也

2023.07.24

日本代表のスタンドオフは誰が務めるのか? 写真の李(左)、松田(右)のほか小倉や山沢らがその座を争う。写真:森田直樹/アフロスポーツ・Getty Images

 スコアボードに踊らされるのはもったいない。

 7月21日、札幌ドーム。

 パシフィック・ネーションズカップ初戦で、日本代表はサモア代表に22-24で敗れた。

 夏に始まった国内対外試合は3連敗となった。今回は、落球などのハンドリングエラーが前週に続き二桁にのぼった。

【動画】一人退場者を出すも…僅差で敗れたサモア戦
 まして今回は、白星こそが求められる正規のテストマッチ(代表戦)。今度の黒星を受け、ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフは「スキル、規律はすぐに修正していきたい」と認めた。

 ただ、いまは助走期間でもある。9月からのワールドカップ・フランス大会を見据え、チームが立てた強化計画を遂行しながら適宜、微修正を図る時期。スコアボードや局所的なエラーよりも、日本代表のプランとその遂行度合いに注目されたい。

「どんどんコンテストキックを蹴って、相手の重いフォワードを下げてプレッシャーをかけようというプランがありました」

 証言者は李承信。司令塔のスタンドオフとして先発の10番をつけた。上空に高く放つ「コンテストキック」をはじめ、多彩な足技を活かすつもりだった。登録メンバーの平均体重で約8キロも上回るサモア代表を――特に身体をぶつけ合う「フォワード」の選手を――後ろに走らせ、体力を削ろうとした。

 前半3分。自陣10メートル線付近左の自軍スクラムから攻める。2フェーズ目。李が右端へ「コンテストキック」を繰り出す。

 球の落下地点へは3名の防御役が網を張った。そのうちのひとり、アウトサイドセンターのディラン・ライリーがルーズボールを拾った。鋭く駆け上がり、進行方向のスペースへ蹴った。向こうが処理に手間取ったことで、日本代表は敵陣ゴール前右での自軍スクラムを得た。まもなく、先制した。

 相手の繰り出した「コンテストキック」へは、フルバックの山中亮平らが対処した。時間を追うごとに捕球の失敗を減らし、自軍ボールを得ればエリアに応じて長短を蹴り分ける。

 前半30分、札幌山の手高校出身のリーチ マイケルが危険なタックルで一発退場。残された選手への負担が増したが、プランに大きな影響は出なかったと李は話す。

「セットプレー(スクラムやラインアウト)からもあまりムーブ(特殊な連携技)を使わずに1、2フェーズでどんどん(攻めるのをやめて)キックでプレッシャーをかける。相手を動かしながら蹴ったり、自分がハイパントを蹴ったり。プレッシャーをかけられたことはよかったかなと」
 
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