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格闘技・プロレス

井上尚弥はメイウェザー 、パッキャオ級の“伝説”を作れるのか――フルトン戦での戦いぶりから“モンスターの可能性”を探る

橋本宗洋

2023.08.19

スーパーバンタム級初戦にしていきなり2つのタイトルを得た井上。(C)AP/AFLO

スーパーバンタム級初戦にしていきなり2つのタイトルを得た井上。(C)AP/AFLO

 いまだに余韻や波紋が消えない。井上尚弥が残したインパクトはそれほど大きかった。

 7月25日、井上はスティーブン・フルトン(米国)が持つWBC&WBOスーパーバンタム級王座に挑戦し、8ラウンドTKOで勝利。階級転向初戦にして2冠王となった。

 試合後にはWBA・IBF王者のマーロン・タパレス(フィリピン)がリングに登場。年内にも4冠戦が行なわれる見込みだという。井上が勝てばバンタム級に続いて2階級での主要4団体タイトル統一だ。

 バンタム級で出すべき結果をすべて出し、階級を上げた井上。フルトンとの試合を前にテーマとして語られたのは「果たして井上はスーパーバンタム級でどれだけ強いのか」だった。より端的にいえば「上の階級でも通用するのか」ということだ。ましていきなりの世界戦、不透明な部分があったことは間違いない。

 しかしいざ試合になると、井上はすべての疑問や不安を一掃してみせた。フルトンに対し常に圧力をかけ、ほぼすべてのラウンドを支配する。7ラウンドにはフルトンが反撃したが、次のラウンドですかさずKOだ。圧巻の勝利としか言いようがない。
 
 あまりの強さに、ボクシングファンもメディアも関係者も新たなテーマを設定することになった。「井上尚弥はスーパーバンタム級でも通用するのか」というテーマには明白な答が出た。次のテーマは「何階級まで制覇することができるのか」だ。

 前提として書いておかなくてはいけないのは、井上のさらなる階級アップはまだ気が早いということだ。まずはタパレスに勝ってスーパーバンタム級4冠統一。そのうえで対戦が期待される選手もいる。ただフルトン戦を見て、多くの人間が「もはや敵なし」と感じたというのも間違いない。

 識者の中には、井上がスーパーフェザー級でも勝てると発言している者も。そしてこうした言葉に対して「さすがにそれは無理だろう」と簡単には言えないし、言いたくもない。

 格闘技の体重は、選手(のほとんど)が過酷な減量をしたうえで計量した数字だ。ギリギリの体重だから、選手によっては「闘うと計量時の100グラムの差も大きく感じる」と言う。

 逆に減量をあまりしない選手も少数だがいる。試合前に体重を落とすことに意識がいってしまうと、強くなるため、勝つための練習がおろそかになる。しっかり食べなければ集中力も落ちる。大幅な減量をするよりも練習期間も含めたコンディションが大事だという考え方だ。
 
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