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ザギトワが活動休止宣言。4回転強化した若手に押され、燃え尽きた17歳に復帰の道はないのか?

THE DIGEST編集部

2019.12.15

ザギトワが平昌五輪で金メダルにキスしていたのは昨年の話。4回転を飛ぶ層の厚いロシア若手女子の追い上げもあり、燃え尽きた形に…(C)Getty Images

 2018年平昌五輪の表彰台の最頂点に立ったザギトワが、突然の活動休止を宣言した。

 12月13日ロシアのテレビ番組"Vremya"に出演し、12月24日~29日まで開催されるロシア選手権に出場する意思がないことを表明。これによって年明けの欧州選手権、世界選手権にも出場することができなくなり、事実上の引退説まで飛び出した。しかし練習を辞めることはなく、アイスショーなどの出演も続ける。また、大学へ進学する準備もするようだ。

 今年シニア3年目となるザギトワの決断に至る要因の一つとして、同じロシアのシニア1年目選手の追い上げも少なからず影響があったという。

 イタリア・トリノで行なわれた「グランプリファイナル」では、SPで2位につけたザキトワだが、フリーではジャンプで転倒や回転不足が相次ぎ、6位で終えた。

 その一方で、トリプルアクセルを得意とする16歳のアリョーナ・コストルナヤが世界最高得点で優勝。15歳のシェルバコワが4回転(クワド)ルッツ、転倒するも4回転フリップを組み込み準優勝、そして同じく15歳のトゥルソワは、4回転を4本入れる男子顔負けのプログラムで3位と、表彰台は「ザギトワ以外」のロシア人が独占した。
 
  難易度の高い回転の技術は、身体の軽い若年層が女子は成功させやすい傾向にある。15、16歳のジャンパーたちが、次々と4回転を成功させていく中、身体も心も少女から大人の女性へ変化していき、曲線美や、表現力を備えていく選手が燃え尽き、競技生活を離れていく様子は、どこかやりきれない面も併せ持つ。

 15歳で五輪の金メダルを獲得したザギトワは、親日家としても知られており、五輪後に秋田犬の「マサル」を贈られ、共にCMに出演したり、キス・アンド・クライでは日本のキャラクター「コリラックマ」のティッシュケースを抱える姿があり、日本にも多くファンがいる。

"若手の台頭"と言われるものの、ザキトワ自身もまだ17歳という若さである。厳しい練習と、競争を繰り広げていくのは容易ではなかったであろう。もし、本当にこのまま引退ということになれば、シニアでの競技生活はわずか3年足らず。それはアスリートとしてあまりにも短い。しばしスケートから離れ、モチベーションが再び戻り、競技生活に復帰する日が来ることを祈りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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