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主軸には堅実派の3歳ハーパーを推奨。現役時代に火花散らした”因縁”ライバルの産駒同士の対決にも注目!【エリザベス女王杯】

三好達彦

2023.11.11

ライバルとして激しい覇権争いを繰り広げたジェンティルドンナ(右)とヴィルシーナ(左)。彼女たちの娘がGⅠの舞台で激突する。写真:産経新聞社

 11月12日、3歳と古馬が激突する秋の中距離クイーン決定戦、エリザベス女王杯(GⅠ、京都・芝2200m)が行なわれる。

 今年の牝馬三冠をいずれも圧勝したリバティアイランド(牝3歳/栗東・中内田充正厩舎)が26日のジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)へ向かうため、絶対的な主役が抜けたラインナップは混戦模様。その中から注目馬を挙げていこう。

 まず真っ先にピックアップしなければならないのが、昨年の覇者であるジェラルディーナ(牝5歳/栗東・斉藤崇史厩舎)だろう。去年はオールカマー(GⅡ)を制した勢いを駆って臨み、得意の道悪(重馬場)も味方にして、2着に0秒3差を付ける圧勝を飾った。その後も有馬記念(GⅠ)で3着に食い込んで、そのポテンシャルの高さをあらためて証明した。

 しかし今年は大苦戦を強いられている。4月の大阪杯(GⅠ)で6着、香港で行なわれたクイーン・エリザベスⅡ世ステークス(GⅠ)でも6着に敗れると、6月の宝塚記念(GⅠ)は4着、秋初戦のオールカマーが6着と、昨年のような勢いはまったく見られない。

 また、今回は舞台が阪神から京都に戻るが、本馬が京都コース未経験であることや、過去10年の5歳馬の成績を見ると概して成績は不振。1~2着を占めた2020年を除いて勝ち馬は出ていない。この点を考慮して、ライアン・ムーア騎手という強い味方を得てはいるものの、ジェラルディーナは押さえまでと評価したい。
 
 本稿で「本命」とまでは言えないものの、主軸として期待したいのはオークス(GⅠ)2着、秋華賞(GⅠ)で3着とした堅実派のハーパー(牝3歳/栗東・友道康夫厩舎)である。

 同馬は1600mのクイーンカップ(GⅢ)を勝ってはいるものの、GⅠの舞台ではマイルの桜花賞(4着)より2400mのオークスで着順を上げているように、距離が伸びて良さが出るタイプであるのは明白。父ハーツクライという血統が、それを後押ししている。

 さらにオークスから休み明けのぶっつけで臨んだ秋華賞は終いの伸びを欠いたが、ひと叩きされてのここでは長くいい脚が使える本馬の強みが活かせるのではないか。
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